お姐さん ページ29
舞踏会当日、早起きして一人で砂浜を散歩をしている時だった。
「お主が、中也がご執心の女か…?」
『えっ…?……あなたも、人魚…??』
砂浜で赤いヒレを優雅に揺らしていたのは、女性の人魚だった。彼女は、私を見て優しく微笑み、手招きをした。
「…中也は、お主のところにいるのかえ?」
『…はい、お城にいます』
「ほぅ、そうか…無事に辿り着いたのじゃな」
彼女は目を伏せ、安堵の表情を溢した。
中也のことを知っている?
この人魚さんは誰だろう…それにしても、なんて綺麗で上品なんだろう…。
『あの…あなたは誰ですか?』
「私は、紅葉じゃ。中也にとっては、姐…のような存在かのう…?」
『お姉さん!?』
人魚にも家族構成があるなんて!
他にもこの海には、たくさんの人魚が暮らしているのだろうか…?
「お主、名はなんと言う?」
『Aです』
「Aか…うむ、良い名じゃ。やはり中也が言っていたのは、お主のことで間違いないのう」
『あの、何の話ですか…?』
問いかけると、紅葉さんは小さく笑い、私の隣まで砂浜に上がってきた。
私の手を片方取って話し始める。
「あの子は…中也はのう、お主を追いかけて海を飛び出したのじゃ。ある日、人間になる毒をくれと言われての…」
『毒…?』
「本当は、契約について王家と相談するために城に赴く時のみしか、使用してはならんのじゃが…」
契約…?
一体何の話なのかさっぱりだ。
「人魚には“海を統治する者”と、“契約内容を管理する者”の、2つの役があるのじゃ。私は、後者を勤めていてのう」
そこでハッと気づいた。紅葉さんは、人間の言葉を喋っている。中也が人魚の時は、喋っていなかったのに…。
契約内容の管理…。もしかしたら、王家と相談する役割?だから、人間の言葉が分かるのかも知れない。
「あやつは、お主の元へ行ったら海に戻る気はないと言っておった」
『え、そうなんですか』
「うむ。じゃが、まさかお主が王家の血筋だったとは…話が変わってくるのう」
紅葉さんは私をちらりと見て深刻そうな顔をする。王家だと何かまずいことが…?
「中也の持つ力を知っておるか?」
『力…?』
「やはり聞いておらぬようじゃな」
『あの、すみません…まず、契約って何ですか…?』
そう聞くと、紅葉さんは拍子抜けした顔をした。
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ヨモギ雲(プロフ) - チョコさん» こんにちは、コメントありがとうございます!4期見ています!出番が少ないながらも、相変わらず中也さんかっこいいですね…!✨ (2023年3月30日 23時) (レス) id: 8cd691db0d (このIDを非表示/違反報告)
チョコ - この話し面白くて見てます!そういえば、文スト4期始まっていますよ!! (2023年3月21日 13時) (レス) @page25 id: d38db6c248 (このIDを非表示/違反報告)
ユエ - こちらこそ返事ありがとうございます。作者様のペースで大丈夫です。今後も期待しています! (2021年6月29日 18時) (レス) id: 007fbd0124 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモギ雲(プロフ) - ユエさん» コメントありがとうございます!ダラダラ更新で本当に申し訳ないです(汗)頑張ります! 7月からでしたっけ…?一期がまた見られるらしいですね、楽しみです! (2021年6月29日 0時) (レス) id: 4c88579f44 (このIDを非表示/違反報告)
ユエ - いつも楽しませてもらってます。そういえば文ストの再放送がやるみたいですよ。 (2021年6月28日 7時) (レス) id: 007fbd0124 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヨモギ雲 | 作成日時:2021年1月22日 13時