人間の暮らし ページ14
『うん、ぴったりね』
中也を私の部屋に通し、用意させた服を着せる。明るい髪と彼の整った顔もあって、とても良く似合っている。
「人間ってのは、こんなモン纏って生活してンのか…窮屈だな」
『慣れれば問題ないよ。それに中也、それを着てるとかっこいいよ』
「え、本当か?」
『もちろん!』
中也は鏡の前まで行って、自分の服をキラキラとした目で見つめていた。気に入ってくれたのかな?良かった良かった。
これからのことを考えると、中也の面倒は私が見るべきなのかな…
他の人たちには私の友達って話をつけておけば、なんとかなるだろう。今度お父様が帰ってきたら、また改めて説明すればいいか。
『中也の部屋は少し狭いかもしれないけど、不自由ないようにするから、何か欲しいものとか…』
「は?俺はAと同じ部屋にいちゃ駄目なのか?」
『え、』
「俺はお前と過ごす為に人間になったんだ。違う部屋なんて絶対許さねェ…」
私の肩を掴んで、グッと顔を近づける中也。
明らかな不機嫌オーラを纏っている。
『わ、分かった。中也もここで過ごしていいよ』
「おぅ!」
承諾すれば眩しい笑顔を見せて私に抱き着く中也。人魚の時、あんなに何を考えているのか分からなかった中也だが、案外単純な思考の持ち主なのかもしれない。
「あ?手前ェ、何か失礼なこと考えてんじゃねェのか?」
『ふふ、そんなことないよ』
「笑ってんじゃねェか!」
『わっ!ちょっと中也、危ないよ…!』
中也に押し倒されて後ろに倒れ込む。ベッドがあって助かった。
暫く頭をわしゃわしゃ撫でられたあと、中也は急に動きを止めた。
「………」
『あれ、どうしたの中也…?』
「…A、俺……」
中也はポツリと呟くと、私の顔の横に手を置いて、顔を近付けて来た。
『……っ…』
途端に、太宰様から頬にキスされたあの瞬間が脳をよぎる。
反射的に、中也の口を手で塞いだ。
『ど、どうしたの?中也、えっと、そろそろ起きよう?これからのこと、色々話さなきゃ』
「…ぁ、あぁ、そうだよな。悪ィ、Aと一緒にいられるのが嬉しくて…」
中也はすごく寂しそうな、残念そうな顔をする。
…まさか、キスしようとした…?
いやいや、そんな訳ない。うん。自意識過剰だ。この件は、自分の中で無理矢理片付けた。
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ヨモギ雲(プロフ) - チョコさん» こんにちは、コメントありがとうございます!4期見ています!出番が少ないながらも、相変わらず中也さんかっこいいですね…!✨ (2023年3月30日 23時) (レス) id: 8cd691db0d (このIDを非表示/違反報告)
チョコ - この話し面白くて見てます!そういえば、文スト4期始まっていますよ!! (2023年3月21日 13時) (レス) @page25 id: d38db6c248 (このIDを非表示/違反報告)
ユエ - こちらこそ返事ありがとうございます。作者様のペースで大丈夫です。今後も期待しています! (2021年6月29日 18時) (レス) id: 007fbd0124 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモギ雲(プロフ) - ユエさん» コメントありがとうございます!ダラダラ更新で本当に申し訳ないです(汗)頑張ります! 7月からでしたっけ…?一期がまた見られるらしいですね、楽しみです! (2021年6月29日 0時) (レス) id: 4c88579f44 (このIDを非表示/違反報告)
ユエ - いつも楽しませてもらってます。そういえば文ストの再放送がやるみたいですよ。 (2021年6月28日 7時) (レス) id: 007fbd0124 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヨモギ雲 | 作成日時:2021年1月22日 13時