【 歌い手 】保健室 。【 センラ 】

11 日目 ページ13

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あ ､ と思い出したようにこちらを振り返る 。



せ ｢ ちょっと職員室行かなあかんのやけど … ｣



きっと心配しているのは 私を1人にすること 。



せ ｢ 多分 すぐ戻ってくるけど … 少しの間 ここで待っとれる ? ｣




あまりに心配そうなその目に 思わず小さく頷いた 。





大丈夫 。少しの間って言ったから 。



それに家に帰れば いつも1人じゃないか 。





せ ｢ ん ､ ええ子や ｣



いつものあの笑顔で 私の頭を撫でてくる 。


さっきのは やはり私の勝手な自惚れなようで ｡




勘違いして ､ ばかみたいだ 。


そもそも 私なんかがそんなこと ､ 許されるわけない 。




せ ｢ なら行くな ､ しんどくなったら寝とき ｣



扉が閉まるギリギリまで ､ 私にそう声をかけながら センラ先生は出ていった 。






時計の針の音だけが響く 。



｢ ……… ｣



別に 静かなのはいつもの事だった 。



違うのは 隣にセンラ先生がいないこと 。





それだけで どうしようもなく不安になる 。



どれだけ 私がセンラ先生に頼って 支えられていたかが改めて分かった 。




はやく ､ かえってきて ……




だんだんと 頭に響いてくる鈍痛 。

体の倦怠感 。


身体の震え 。



こんな感情になることなんて滅多になくて ､ どうすればいいのか分からないまま ､ 次々に溢れる涙 。



生理的なものか ､ それとも ……





我慢しなきゃ ｡ 少しって言ってたから大丈夫 ｡




体調が悪くなっているのは 一目瞭然 。


さっき言われたとおり少し横になろう 。




なんとなく そのまま1人で寝るのは心細くて ､ 見慣れすぎた保健室を見回す 。




｢ …… あれ … ｣



目に付いた ､ いつも先生が着ている長めの白衣 。



ずっと着ていたからか 少し皺が寄った状態で椅子にかけられていた 。




力なく近寄って白衣を手に取る 。




ほとんど何も考えずに そっと袖を通してみた ｡




温かかった 。

いつものセンラ先生の香水がふわっと香る 。





背の高いセンラ先生でさえ 少し長めの白衣は 私の身体を全て 包み込む 。




まるで センラ先生に包み込まれるような感覚に とても安心した私は ､ そのままベッドに潜り込んだ 。





そっと目を瞑れば ､ 先程よりは幾分か楽になった身体 。





睡魔に抗うことなく ､ 私は意識を手放した 。





確かに少しだったかもしれないその時間は


今までにないくらい長く感じた 。

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