【声劇台本】狂人の舞【声劇グループクレア用】

日向「確か、ここだよね」

歩美「う、うん。そうだね。うわぁ、なんか気味悪いね、この森」

日向「行ってみよっか」

歩美「大丈夫かな…」

日向「大丈夫だって、ほら、行こ？」

歩美「う、うん…」


〜森の中〜

日向「木と草むらくらいしか無いね」

歩美「そうだね…。あ、あそこに誰か居ない？」

日向「あっ、ほんとだ、行ってみよう」


レン「た、助けて…だ、誰か、いませんかー？」

日向「あの、大丈夫ですか？」

レン「あ…ちょっと川に落ちてしまって…」

歩美「ちょっと待ってください、助けます」

レン「ありがとうございます…！」


日向「よーいっしょ！」

レン「んーーっと！…はぁ」

歩美「っ、はぁはぁ…大丈夫ですか？」

レン「はい、ありがとうございます。あなた方は？」

日向「知人の家に泊まりに来たんです。私は若狭 日向(わかさ ひなた)で、こっちが」

歩美「幸村歩美(ゆきむら あゆみ)です。よろしくね」

レン「ひなたさんとあゆみさんですね。よろしくお願いします。僕は冬姫 レンと申します」

日向「レン、いい名前だね」

レン「そんなことないですよ(笑)」

歩美「レンはなぜここにいたの？」

レン「僕ですか？…あぁ…散歩…ですかね(笑)」

日向「散歩？…でもこの森、危ないって聞いたけど」

レン「知ってますよ、噂のことですよね。ならどうしてあなた方もここにいるんですか？」

日向「あ、そ、それは…」

歩美「その…気になって…。ほ、ほら、入るなって言われたら入りたくなるじゃない？それで…ね」

レン「なるほど…。哀れな人間たちですね」

歩美「…え？」

日向「哀れ…ってどういうこと？」

レン「そのままの意味ですよ。この森の噂、『人間の姿をした悪魔が住んでいる。そしてその悪魔と話をした者は呪いをかけられて破滅する』でしたよね」

日向「…うん、そうだよ」

歩美「レン…もしかして……」

レン「おや、察しが良いようですね。そうです、その噂の悪魔は…僕です」

日向「っ！？ほ、ほんとに！？」

歩美「ま、まさか…噂が本当だったなんてっ！」

日向「(慌てる)あ、ああ、歩美、か、帰ろっか」

歩美「う、うん、か、帰ろっか」

レン「時すでに遅し」

日向「…え、？」

歩美「な、なに？」

レン「あなた達はこのあと破滅しますよ、必ず」

日向「え……な、なに、破滅だなんてう、嘘でしょ？」

歩美「嘘、に決まってるよ、ひなた」

レン「本当ですよ。…これ以上僕と話すと…とっても怖いことが起こります。早く立ち去ったほうが…身のためですよ」

歩美「…ひなた、早く行こ」

日向「う、うん、怖い…」

歩美「大丈夫、きっと大丈夫だよ」


〜数日後〜
レン「そろそろ苦しくなる時ですね。…ひなたさんとあゆみさん、破滅してください。僕のために。ふふ」

〜夜、眠っている状態〜
（お互い、首を絞められて苦しくなっていて目が覚める。そして目が覚めたらお互いがお互いの首を絞めていた。お互いの目には化け物姿のレンが見えている）

歩美「…っ、く、や、めて…！」

日向「きゃああ！来ないでー！！」

歩美「あっ、く、び…しめら、れ、てる…や、苦しっ！やめてっ！」

日向「くるし、い…もう、だ、だめ…」

歩美「く、くるしい…ひ、なた…ひな、た…」

日向「あ、ゆ、み…っ、くっ、あ、ゆみ…向こう、で…会、おう、ね…あ、い、し、てる…」

歩美「ひ、なた…あい、して、る…」

（二人は息絶える）


〜森の中にいるレン〜

レン「おや、ふふふ。破滅しましたね。ほーら、言った通りだったでしょう？哀れな人間たちですね、本当に。でも僕はこれが楽しくて仕方ないのです。…さて、そろそろあの方からのご褒美が…って…え？な、なにこれ…！」

(体が透けていく)

レン「…僕が…消えてゆく…。あぁ…なるほど……僕はもう用済みって事ですか…ガッカリ。ねぇ、貴方様…もっと人間たちを破滅させたいのです…いけませんか？…あ…ダメ…みたい…です…ね…。仕方、ありません…人間の皆様…さようなら…」


〜

日向の霊「レン、消滅したみたいだね」

歩美の霊「そうだね。悪いことをしたんだからその報いを受けたんだね」

日向の霊「ふふふ…哀れな悪魔さん」

歩美の霊「ふふふ…そうだね。私たちのところにおいで…」

日向の霊「レン…私たち、待ってるからね…」

歩美の霊「マッテル…」

日向の霊「マッテルヨ…ズット…」


〜fin〜