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今日は誰と恋する？ - 2024年5月4日
クールな彼の笑顔がみたい《月島蛍》
同じクラスの月島くんが笑っているところを見たことがない。
正確に言えば心から笑っているところだけど。
話しかけてくる女子に営業スマイルをかましている月島くんを遠巻きに見ながら、私は友達の恋話に適当に相槌を打っていた。
まぁ、私には関係ないか。
そう思っている時が私にもありました。
「あ。」
今日は私の好きなバンドのニューシングル発売日。
マイナーバンドだから近所のCDショップで売ってるわけもなくわざわざ仙台まで出てきたわけだけど。
やっと見つけたCDを手に取った瞬間聞こえてきた声。
横に目を向けると、そこには汗をかいた月島くんが無表情ながらにちょっと残念そうな顔をしていた。
残念ながらこのCDは一つしかない。
「月島くんもこのバンド好きなの？」
そう声をかけるとめんどくさそうに「そうだけど？」と答えてくれた。
あの月島くんがこの時期に汗をかいているということは、部活が終わった瞬間速攻で来たということだろう。
「じゃあ。」と言って帰ろうとする彼に思わず声をかけた。
「このCD月島くんに譲るよ。」
流石にかわいそうに思いそう言うと、彼は思いっきり振り返った。
驚いたような顔で私を凝視する彼。
なに？と聞くと、なんでそんなことするのと逆に問われた。
「だって月島くん部活忙しいのにわざわざ買いに来たんでしょ？私は他の日でも別にいいから。また買いに来る時間あるし。」
そう言って彼にCDを無理やり渡すと一目散にお店を出て行った。
くそー。どこ探しても見つからない。店舗に問い合わせたけど一向に連絡こないし！
こんなことなら予約しとけば良かったなとか思いつつ友達と話していると、
「ちょっと、今時間いい？」
月島くんに声をかけられた。
周りでギャーギャー言ってる友達を無視して月島くんを廊下に連れていく。
「どうしたの？」
「この前譲ってもらったCD。まだ手に入れてなかったら貸そうと思って。」
「ほんと！？ほんとに！？ありがとう月島くん！今まで朴念仁とか思っててごめんね！」
「思ってても今のタイミングで言うそれ？」
私が頭をぺこぺこと下げていると上から笑い声が聞こえた。
「月島くん。いつもの胡散臭い笑顔よりそっちの方が素敵だよ。」
急いで顔を背ける彼。
耳が赤くなったのばっちし見たよ私。
今度は真正面から君の笑った顔が見たいな。
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作者名：ねむのき | 作成日時：2020年1月13日 20時
