【12人コラボ】愛とか恋とか。【歌い手】

23種類の結果パターン

人の数以上の、恋の数。 - 2024年5月4日

*:..｡*ﾟ¨ﾟﾟ･りょーくん*:..｡*ﾟ¨ﾟﾟ･


ただいまと告げた小さな声は部屋の奥へ吸い込まれていった。
靴を脱ぎすてて、真っ暗な廊下を進んでいく。
リビングを素通りして寝室のドアをそっと開く。


僅かな光のもとで、彼女の存在を示すように、毛布が僅かに上下を繰り返しているのが見えた。
ふと時間を確認すると、随分と前に日付は変わっていて、目が眩んだ。


一度扉を閉めて、リビングの灯りをつける。
堅苦しい鞄をソファーに投げ出し、身にまとっていた社会人の証をはぎ取っていく。


…今日みたいに遅くなる日は、大抵YOUはもう眠っていて、いつものおかえりを聞く事は出来ない。
そこに淋しさを覚えつつも、彼女の用意してくれた食事とか、着替えなんかに彼女の存在を端々に感じて心がほっこりする。


簡単に支度を済ませて再び寝室のドアを開く。
毛布をそっと捲り、YOUが空けているスペースに身体を潜り込ませる。


…起こしてはいけないと頭の隅っこで思いながらも、もう手は彼女の腰に回っていて。
髪の毛に顔をうずめるようにしながら、柔く身体を抱きしめた。


「……ん、おかえり」

「起こした？ごめん…ただいま」


掠れた声が俺を受け入れてくれる。
抱き寄せる腕についつい力を込めた。
まだすこし寝ぼけた様子の彼女に、唇を寄せる。
＿＿すべてを愛でるように、額や瞼、頬、唇、首筋と次第に下降していく。


くすぐったそうに身を捩って、小さく笑い声をあげた。
俺の服の裾を掴む手の力が次第に強くなる。
………なんていとおしいんだろう。


「俺さ、YOUと一緒に暮らし始めてよかったよ」

「……へ、どうしたの急に」


大好きな声が俺の鼓膜を心地よく揺らす。
なんとなく思っただけじゃなくて前々から感じていたことだ。


「帰ったらいんだもん。なんかすげぇほっとする」

「私だって待ってたら絶対りょーに会えるから、嬉しいよ」

「……忙しくてごめんな」

「ううん、だいじょぶ」

「週末はどっか出かけよう」

「えへへ、楽しみ」


伸びてきた腕が俺の首に回った。
密着した身体は熱を帯びていく。
それでも暫くして、胸元から聞こえてきた寝息に少し落胆しながらも、彼女の寝顔にやっぱり心を和ませる。


勿体ないくらいたくさんの幸せに包まれて眠りの闇に落ちていく。
そんなとき、幸せすぎてすこしだけ泣きそうになったのは＿＿俺がYOUにする、ひとつだけの、秘め事。


Writer‥りりー

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