18種類の結果パターン

本日、貴女に名前をくれるのは？ - 2024年5月8日

「お兄様とお買い物楽しいですわ！」

「うん、ボクも楽しいよ」

ボクとナオミはショッピングモールに来ていた。

「次は何処行くの？」

「それよりお兄様、あの子。困ってるみたいですわ」

ナオミが見ている方へ目を向ける。

すると其処には、きょろきょろ辺りを見回す女の子が居た。
ボクより少し歳下かな？

「迷ったんですの？」

此処は広く、迷うのも無理はない。

「声掛けようか」

「そうですわね！」

ナオミはボクの手を取り、彼女の処へ行く。

「君、どうしたの？」

「…………え？わ、私!?」

「そうですわ」

彼女は自分の後ろを見てからそう云った。
自分じゃないと思ったのかな？

「何か困ってると思ったんですの」

「ああ〜。慥かに困ってるね」

彼女は頭を掻きながら苦笑した。

……云いにくいのかな？

「迷っちゃった？」

ボクから話を切り出してみた。

すると案の定、

「……うん。あと……」

また口ごもる彼女。

どうしたンだ？

「家出……してて…………」

「嗚呼、そうだった……ウン？」

軽く受け入れようとしたら、思わぬ単語(ワード)が……。

「其の儘ふらっと此処に来ちゃって……、無一文で」

「ちょ、ちょとまって！何が如何なって……」

苦笑いの彼女の口からこぼれる言葉を制す。
理解が追い付かない……。

「立って話すのもなんですし、彼処に座りません？」

先刻まで黙っていたナオミが口を開いた。

ナオミが指さした方を見ると、フードコートが在った。

「そうだね」

彼女も頷いたので其処で話すことにした。


「自己紹介からしようか。ボクは谷崎。そんで此方が」

「妹のナオミですわ」

ナオミはボクにひっ付いてきた。

「あ、兄妹なんだ。てっきり恋人(カップル)かと」

彼女は其れ以上ボク等の関係について何も云わなかった。

……こんな突っ込まない人、初めてだ。

「私は、名前無いから」

「「え？」」

ナオミと声が重なる。
名前が無い……？

「嗚呼。えっとね、私物心ついた時から親にコキ使われてて。三日前我慢の限界が来て家出したって感じ」

笑顔で話す彼女。

こんなことが在って良いのだろうか？
名前も貰えないなんて……？

何か……ボクに出来ないかな……？

そんなことを考えていると、

「私たちの処へ来ません？」

とナオミが提案した。

目を見開く彼女。

「うん！そうしよう。仲間もいるし」

「じゃ！名前頂戴」

ナオミとボクは相談して二人で


「YOU！」

と笑顔で云った。

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