【薄桜鬼】私は（彼の素顔を）見た！No.2 〜斎藤編〜

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YOUさんの見た斎藤さんの素顔とは・・・？ - 2024年5月6日

運の悪い彼(学パロ)



―――最近、ある重大なことに気づいた。

私の隣の席に座る斎藤一君(2年生、風紀委員と剣道部に所属)はとても運が悪いようだ。
・・・しかも、決まって私のすぐ近くでのみそれが発揮される。


今日も朝から何も無いところで転んで、女子の下着を見たとかいう嫌疑をかけられたり、教室に入ろうとしたら前の人がドアを閉めて体を挟まれたり――。

考えるだけであと10個以上は出てくる。



現在は放課後。
図書委員の私は図書室で本の貸し出しを行っていた。

斎藤君は図書室に本を借りに来るごく少ない利用者だ。
いつも私が担当の日には来ないのに、なぜ今日は来たのか・・・。

何も起きないことを願いながら彼を注視していると。


ｶﾞﾗﾗﾗｯ


「おっ牧原ちゃん！ここ漫画置いてねーの？」

「漫画はあそこ。あと、もう少し静かにね？」

「わーってるよ！」


ちょいと素行の悪い生徒のA君とB君の2人がやって来たようだ。
その人たちは斎藤君の見ている本棚の反対側に置いてある漫画エリアへと進んで行った。


図書室なのにじゃれあっている彼らをハラハラと見ていると、ついに事は起きてしまった。

A君をB君が押したせいでA君は背を本棚に強打し、それと同時に図書室内にﾊﾞｷﾝｯと金属がへし折れる嫌な音が響いた。

私はすぐに何の音か理解した。

・・・本棚の二本あるうちの恐らく一方の留め具が折れたのだ。
そして、もう一方は緩んでいたから今日の下校時刻を過ぎた後に先生たちが直してくれることになっていた。

緩んでいる留め具では本棚を支えることはできなかったようで、それが折れる音と共に本棚は隣の斎藤君のいる方の本棚に寄りかかる形で倒れてしまう。


「斎藤君！！？」


急いで落下した本の山まで駆け寄ってみると、本の下敷きになっている彼を見つけた。

本をどかすと彼は自力で出てきた。


「斎藤君、大丈夫！？怪我は無い？」

「本が頭に当たったくらいだから大丈夫だ」

「それ、大丈夫なの？」


その後彼らのことを土方先生たちに報告した私たちは一応保健室に行って傷を診てもらい、なぜか一緒に落ちた本の整理をしていた。


「斎藤君って運が悪いの？よく酷いとこ見かけるけど」

「いつも見かけるたびに牧原を見ていたからな。・・注意力が散漫だっただけだ」

「・・斎藤君、頭診てもらった方がいいんじゃないかな？」

「俺はあんたが好きだ」

「ねえ、本当に大丈夫！？」





彼は、運が悪いわけではないらしい―――。

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