【H×H】見せる、魅せる、顔。

13種類の結果パターン

見せられ、魅せられ。 - 2024年5月7日

：



「結婚しよう」

「お断りします」



毎日この会話を繰り広げる、迫ってくるのはゾルディック家長男イルミ。


真っ黒な髪に、光の差していない目。
それに対して白いすべすべの肌。

見た目からして怪しい人だが、エリート暗殺一家には見えないだろう。何でも母親似。



１度だけでも家に来てよ、と言われるが彼の性格上閉じ込められてしまうかもしれない。


まず私が好かれるのも意味がわからない。

強くもないし、弱みを握っている理由でもない。






「何で私のこと好きなの、
この世に強くて、可愛い人なんかいっぱいいるよ」

「それは知ってる、母親がすごく写真持ってくるんだよね、選択肢は沢山」

「……っ」



何故か息が詰まる。
心臓が痛い。



あ、本当は私は

そんなことないよ、YOUが一番

って言って欲しかったのかもしれない。



実質自分よりイルミにお似合いな人なんて星の数以上にいるだろう。
でもそれを否定して私を優先して欲しかった気持ちもある。





(あれ、これってまるで)


私がイルミのことが、好きって言ってるものじゃないか。



毎日結婚しようと言われ、うんざりしていた。

でも話しているうちに彼の素顔が知れた気もした。
中身は悪いやつじゃない、って。






「でもさ、オレはYOUがいいんだよね」

「……」

「どうしてもオレのものに、なってくれない？」

「わ、私…」




その時、首に違和感を感じた。

チクリ、とした痛み。

彼の手には針があった。





「無理矢理にでもオレのものになって欲しいんだ、
……YOU、」



わ、私は、イルミのことが、好き。

届かない想いにもう動かない口。
遠ざかる意識はサヨナラの合図。




「＿＿＿＿ごめん」



最期に見た彼の顔は、

泣きそうだった。

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