TVXQ　奏心な愛　1　～ユチョン～

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Aさんの診断結果

第42話：溶け出す悲しい記憶数日後、閉店間際に久々にユチョンがお店にやって来た。

「おじさん、Aさん、お久しぶりです。」
彼は前と変わらず人懐っこい笑顔だった。

…私の考えすぎだったかな？(苦笑)。
彼の笑顔を見てひとまず安心した。

「今日は、Aさんに用があって来ました。」
「えっ、私？何？」
そういうとユチョンはおもむろにピアノの前に座った。

そして、目を閉じゆっくりと深呼吸をした後、静かに弾き始めた。

～♪～♪
「この曲は…。」

ユチョンが弾いている曲はシュンが好きだったあの曲だった。
シュンとの思い出が甦る。
そして、冷たく横たわるシュンの姿も…。

「やめて！」
私は取り乱し、耳をふさぎ、その場に座り込んだ。

「Aさん、耳を背けないで彼の音をちゃんと聞くんだ。」
オーナーはそう言うと、耳をふさいでいる私の手を優しく取った。

「なんで、こんなこと…。」
涙で目の前がかすみ、心の奥にしまっていた記憶が少しずつ溶け出し胸を熱く締め付けた。

「荒療治かもしれないが、僕はAさんに前に進んでほしいんだ。ユチョン君も同じ気持ちだよ。そしてきっとシュンも…。」
そう言ってオーナーは涙を流した。

オーナーの気持ちは痛いほど感じた。
けれど、過去の悲しみから抜け出せない自分がそこにいた。

わたしはたまらなくなり店を飛び出し、闇に包まれた街を彷徨った。