TVXQ　奏心な愛　1　～ユチョン～

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Aさんの診断結果

第43話：届け、俺の音　～ユチョンside～
そして、曲を弾く日。
おじさんとは事前に連絡をとって了解を得ていた。

しかし上手く弾けるようになったとはいえ、自分の音がAさんの心に届くかどうかは正直、自信がない。
今朝はジェジュンが作った朝食ものどを通らず、俺は約束の時間まで一人部屋にこもった。

約束の時間より少し早めに店に着いた俺は中をそっと覗いた。
久々に見るAさん。
彼女を見る俺の眼差しは、愛しいものを見る眼差しへと変わっていた。

そして、ゆっくりと深呼吸をして店へ入って行った。

店に入ると二人の視線を一斉に浴びた。
「おじさん、Aさん、お久しぶりです。」
俺は緊張を悟られないよう精一杯の笑顔であいさつした。

そんな俺を見てAさんは、前と変わらない優しい顔で微笑んでくれた。

「今日は、Aさんに用があって来ました。」
「えっ、私？何？」
俺の言葉に驚いた表情の彼女。

そして俺はピアノの前に座った。
少し手が震える。その手を一瞬強く握り、そして、ゆっくりと深呼吸をした後、静かに弾き始めた。

「この曲は…。」
彼女はすぐに反応を示した。そして、辛い思い出が甦って来たのだろう。
「やめて！」
そう言うと取り乱し、耳をふさぎ、その場に座り込んだ。

でも俺は弾き続けた。

「Aさん、耳を背けないで彼の音をちゃんと聞くんだ。」
おじさんはそう言うと、耳をふさいでいる彼女の手を優しく取った。

「なんで、こんなこと…。」
見るのも可哀想なくらいボロボロになっていく彼女。

「荒療治かもしれないが、僕はAさんに前に進んでほしいんだ。ユチョン君も同じ気持ちだよ。そしてきっとシュンも…。」
そう言っておじさんも涙を流した。

そして、彼女はそのまま店を飛び出していった。