TVXQ　奏心な愛　1　～ユチョン～

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Aさんの診断結果

第13話：二人を結ぶ曲　～ユチョンside～彼女は奥からタオルを持ってきてくれた。

「ありがとうございます。」
俺は少し照れながらタオルを受け取った。
そして、濡れた顔を拭いていたらふと視線を感じ、彼女を見た。
彼女は俺の顔をじっと見ていた。
東方神起ってバレたかな…？

「…何かついてますか？」
「えっ、何でもないです…。コ、コーヒー淹れてきますね。」
俺の問いかけに彼女は赤面し、少し焦ったように答えて奥に消えていった。

「…なんか迷惑かけてすみません。」
俺はおじさんに謝った。
「迷惑なんかじゃないよ。きっとこれも何かの縁だよ。」
「えん？」
「こんな誰も気づかないような小さな店を君は見つけてくれた…。君は楽器が好きか？」
「はい、好きです。ちゃんと習ったことはないけど、ピアノは昔から弾けます。」
「そうか。楽器たちが君をここまで連れてきてくれたのかな？(笑)。おかしいだろ？いい歳したおじさんがこんなこと言って。」
おじさんは照れくさそうに笑った。
すると奥からコーヒーの香ばしい香りが漂ってきた。

「Aさんの淹れたコーヒーはすごく美味いんだよ。照れくさくて本人には言えないけどな。」

彼女がコーヒーを持ってこっちへ来た。
「どうぞ。」

コーヒーの香りが部屋を満たした。
「いい匂いっすね。いただきます。」
一口飲むと、冷えきった体にじんわりと温かさが染み渡った。

「すごくおいしいです。ねっ、おじさん！」
「えっ、あぁ。…美味いな。」
俺が急に振ったからおじさんは慌てていた。

「ありがとうございます。」
おじさんに褒められて彼女は照れくさそうにうつむいた。

店内を見回すと彼女がいつも弾いていたピアノが目に入った。

「あのピアノ、結構古いですね。」
俺はピアノを指差して言った。

「あぁ、この店で一番古い楽器だよ。…弾いてみるか？」
「いいっすか？」
おじさんに勧められて俺はピアノの椅子に座った。
年季を感じる重厚感。しかし、しっかりと手入れされているのが一目でわかるほど美しい漆黒。

…さて、何を弾こうか？ここは無難なクラシックか？それとも…
俺は少し悩んだ。

そして鍵盤に指を置き、軽く深呼吸をして弾きだした。

選んだのは俺と彼女の共通の曲、『Begin』。