君に好きだと言いたくて【銀魂】

Aさんの診断結果

第３話.


Aさんが、あいつに嘘をついた。



理由は…なんとなくわかる。





あれは、放課後のことだった。


いつものように俺はAさんと一緒に部活に行くために掃除が終わるのを待っていた。



今週のAさんは校庭の掃除だったから、俺は校庭が見える教室からAさんを見ていた。




沖田「…真面目だなァ…」



どこか楽しそうに掃除をするAさん。


校庭には桜の木が満開に咲いていて、風が吹くたびにひらひらと花びらを宙に散らした。



Aさんはときどき桜を仰ぎ見ると、愛おしそうに微笑みを浮かべた。



沖田「………」


その可愛さに、俺はついボーっとしてしまう。


(…ほんと、可愛いよな…Aさん。)



俺がAさんを見ていたときだった、彼女に話しかける男がいた。



沖田「…？…なんでィ、あいつ…」


俺以外の奴がAさんと話してると、なんとなくムカつく……。



その男は真っ赤な顔をしながら何かを話していた。


俺がいた教室からだと男の声は聞こえない。


だが、





『好き』





その言葉だけは、口元でわかった。



沖田「………!!」


Aさんはその二言を言われた後、顔を真っ赤に染めると


少し困ったような表情をして、頭を下げた。



それを見て、男は慌ててその場を離れて行った。




…どうやら、告白は断ったらしい…。


俺は柄にもなく安堵のため息をつく。




沖田「……告白…か」



Aさんが箒を片付け始めたのを見て、俺は外に向かった。









きっとAさんは告白してきた相手のことを考えて、あえて嘘をついたんだろう。




そういう人だ、Aさんは…



すごく、優しい人だ。




俺は、そんなAさんだから…









“好き”なんだ……。



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