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Aさんのﾊﾞﾚﾝﾀｲﾝ。
木村克也.
｢お待たせ〜ぃ、ってかさ、こんな日に呼び出したって事は〜…まさかA、俺にﾁｮｺくれるとか??!｣
軽い…ﾁｬﾗい…
なんでこんなの好きになったんだろ…
｢…これ…。｣
｢……え…ｶﾞﾁ…?…｣
本当に貰えると分かった途端、彼は姿勢を正して声のﾎﾞﾘｭｰﾑを下げた。
｢やっぱいらなかった…?｣
｢いや…いる。いるいるいる! え〜…どうしよ…やっば……え〜っ………｣
ﾁｮｺﾚｰﾄ1こでこんなにﾃﾝﾊﾟるって…やっぱ克也ってﾓﾃないのかな…可哀想に…
｢ってか何か今俺に同情してない?｣
｢ふぇっ?!! な、なんで?!｣
｢いや…何となくそんな顔してた気がしたから。｣
｢し、してないしてない! それより食べてみてよ!!｣
｢おう… いっただきまーす。｣
｢………うん…うまいうまい。…うん。うまい…。｣
笑顔ひきつってますけど…
｢あー、うまい。 いや、ほんとうまいよ。｣
涙目になりながら彼は、箱の中身を全てたいらげた。
ﾁｬﾗそうに見えて…意外と真面目っていうか情に厚いっていうか……
｢ﾌﾌｯ… …ありがとう。｣
｢ん？何が??｣
｢別に。一緒に帰ろっか。｣
｢おう! 帰ろ帰ろっ!! あーうまかった〜｣
｢もういいよ。｣
｢いや、ｶﾞﾁでｶﾞﾁで。｣
｢いいって…(笑)｣
改めて、彼を好きになった理由が分かった気がした…。
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作者名：えれな | 作成日時：2015年3月10日 19時
