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「はじめまして、宮田さん」
相手がその言葉を聞いて、強ばらせていた頬の筋肉を少し緩めたのを見逃さなかった。
─単純
依頼主の情報を頭の中へと入れていく。
そのまま席に座るように促すと、赤茶色で少し継ぎ目が綻んでいるソファーへと腰を下ろす。
「アイスコーヒーひとつ」
今日はそんなに暑かったのだろうか?
彼の注文したモノを聞いて、春の音がまた近づいた気がした。
絵に描いたようなちょび髭で白髪で丸眼鏡をかけている初老のマスターが、氷が入ったアイスコーヒーと銀色のミルクピッチャーとガムシロをひとつテーブルに置く。
宮田さんはストローを袋から出し、コップの中にそれを挿すと、何かに焦るように掻き混ぜていた。
…ミルクとか入ってねえけど。
掻き混ぜる意味って....
謎の行動は彼がテンパってることを物語っていた。
「あの…こちら、着手金です」
「どーも」
よく刑事ドラマや極道ドラマで見るように、そんなには分厚くない茶封筒が手渡された。
この茶封筒を分厚くするには、最低でも成功報酬の額ほどは必要だ。10枚では分厚くはならない。
確認もせず、そのまま鞄へとしまった。
その人は目を見開き「確認しないの?」と物語っていたけど、それには何も言わず、本題について問いかける。
「早速ですが、写真を」
「はい、」
写真は必要。彼の周りを把握する必要がある。
渡された写真を確認する。一人ずつ写ってるものを依頼していたから、写真は2枚手元にある。
うわぁー。なにこれ、イケメンふたり。
色が黒い人と、白い人。
焦げ茶のような色と、黒髪と。
眼が細い一重が奥二重かの人と、くりくりしてる二重の人。
「写真の彼らは、玉森 裕太と藤ヶ谷 太輔と言います」
「玉森?」
「いや、逆です。可愛い方が玉森」
「…わかりにくっ」
可愛い方が、って説明になっていない。
むしろ、この色黒の人だって、可愛い。
写真ですら分かる色気が、すごい。
その彼が告げた口調で、この依頼主が藤ヶ谷ではなく、玉森に好意を抱いてることが分かった。
目が笑ってない宮田さんは、その玉森の写真を愛しそうに離れた所から見つめてる。
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ももは(プロフ) - くらげさん» くらげさんっ!こんばんは!コメントありがとうございます!わぁー!ご覧頂けてたなんて嬉しくて照れます(^^)Fさん恋の終わりが訪れ、騎士になったかと思いきや…ちょっと無自覚です。本当にただの騎士だと思ってるだけ、なのか♪移行後もご覧頂けると嬉しいです(^^)/ (2019年4月2日 18時) (レス) id: db5af09c34 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - ももはさん、こんばんは!Fさんが痕が早く薄くなればいいと思ってるのを読んで恋の終わりってこうだよね…と切ない気持ちにもなりましたが、そこからのまさかの騎士…!!騎士になられるんですか?!とテンションダダ上がりでした(笑)移行後も楽しみにしています! (2019年4月2日 0時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
ももは(プロフ) - makoanjyuさん» makoanjyuさんっ!いつもありがとうございます☆*はい!夜中に更新をしてしまいましたっ!移行後は、ナイトさん、ふらつきます(^^)/思い通りに展開しないKさまイラついてます。もうすぐでアップ出来ると思いますので、引き続きご覧頂けると嬉しいです♪ (2019年4月2日 0時) (レス) id: db5af09c34 (このIDを非表示/違反報告)
makoanjyu(プロフ) - 夜中に目覚めたら更新されてて嬉しいサプライズです♪藤ヶ谷さん、ついに北山姫を助けるべくナイトとして立ち上がりましたねー!もう一度ナイトとして北山さんを助けてるんですけど。オノレの嫉妬心や迷いに気付かされた北山さん。次どーなるの?!wktk♪(´ε` ) (2019年4月1日 2時) (レス) id: f76eafea05 (このIDを非表示/違反報告)
ももは(プロフ) - 1632さん» 1632さんっ!いつも本当に本当にありがとうございます(^^)嬉しいです♪ふふふ!姫からナイトにっ!この展開書きたくて書いてました!笑 なので、そう言って頂けて本当に嬉しいです☆長くなり申し訳ありませんが移行後もご覧頂けると嬉しいです♪温かいお言葉感謝です☆* (2019年4月1日 0時) (レス) id: db5af09c34 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ももは | 作成日時:2019年3月20日 0時