会えない数だけ (ページ42)

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「ベタかよ」

結局美勇人が帰国したかも分からない

見る気にも開ける気にもならなかった紙袋

ずっと部屋の片隅に置いてあったから

正直存在すら忘れていた

紙袋を持ってベッドに腰掛けた

渡されて1週間後にしてようやく開けたと思ったら

エメラルドグリーンの箱に貰ったリングと鍵、

そして手紙が入っていた

長々と今日までのことを永遠と書いてあって

パパに謝られたこと

2人からホノルル空港行きのチケットを渡されたこと

もう会えないし、会うことは無いと思っていたけど

毎年渡していたから気持ちだけでもって

美勇人の誕生日プレゼントを置いていったことを

しっかりと書いてくれていて今も使ってくれている、と

いつもお互いペアの物を渡していたけど

流石に重いと思ってドライフラワーを渡した

そしてどうして距離を置いたか、しっかりと書いてあった

それがまさかパパの一言でこうなるなんて

一家で美勇人を苦しめてたって思うと

胸が苦しくなって涙が止まらなかった

きっと、" 別れる " なんて言うつもりなかっただろう

だって手紙の最後にはこう書いてあったんだから

" 空港で待ってるから "

もう彼は空港には迎えに来ない

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