03話 : 自己紹介 ページ3
.
五条は納得の行かない表情を浮かべながら、頭を掻き、大きくため息を吐く。
しかし、観念したのか、しゃがみ少女の顔を見る。
目隠しの上からもわかる、整った顔立ちに五条は一瞬固まる。
「……お前、名前は?」
と少女に無愛想に問いかける。
「……A」
「苗字は?」
「……?」
その様子を見ていた夏油は、五条に近づく。
「……色々訳ありな様だね…
私は夏油傑、気軽に傑と呼んでくれ」
夏油も五条同様にしゃがみ、微笑みながら優しく言う。
Aは小さく頷く。
家入も同様にしゃがみ、目線を合わせる。
「私は家入哨子
Aって呼んでいい?」
と家入が問うと、Aは再度小さく頷く。
「じゃあ、私のことも哨子でいーよ
……で、こっちのグラサン男は五条悟。馬鹿五条って呼んでやって」
「なんでだよ!?」
ふざけあっている2人を横目に、夏油はそんな2人を前にしてピクリとも表情を動かさないAを見つめる。
見た目からの年齢は3、4歳と言ったところだろう。
そんな年齢の子どもが、今までの全てのやり取りに眉ひとつ動かさないことに違和感を覚える。
しかし、あまりにうるさい2人の声に思考は遮られる。
「2人ともそこまでにしようか
悟も、ほら早く自己紹介して」
2人を引き離し、五条をAの前にしゃがませる。
Aは五条の顔を見つめる……、と言っても本当に見つめているかは分からないのだが。
五条はAの視線か、それとも雰囲気かは分からないが、ソワソワと落ち着かない様子で、
「あー、五条悟。
悟でいいから」
と、言い捨てるように挨拶する。
「……無愛想〜」
と家入の言葉に言い返そうと後ろを向こうとすると、服の裾が引っ張られる感覚を覚える。
その原因んは、Aが五条の服の裾を掴んでいたからだ。
「どうやら、悟に懐いたみたいだね」
「はぁ!!」
五条は、あんな無愛想な挨拶のどこを気に入ったか分からないと言った顔でAを見るが、Aは相も変わらず無表情で、何を考えているのか分からない。
だが、少しだけ、ほんの少しだけ、安心したように頬を緩めた気がする。
.
1115人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さくら(プロフ) - コメント失礼します!読めることが嬉しいので、ルーシェさんが書きやすい方で、大丈夫です!!更新頑張ってください! (2020年11月15日 0時) (レス) id: af1bba7450 (このIDを非表示/違反報告)
ミサカ - コメント失礼いたします。更新方法についてですが、他の皆様もおっしゃっているように私も作者様のしやすい方法がいいと思います!ただ、個人的には本誌の時間軸のも読みたい、、という葛藤もあります、、どちらでも応援しています!頑張ってください(^^) (2020年11月14日 20時) (レス) id: 621bb75200 (このIDを非表示/違反報告)
Night(プロフ) - 初じめましてっ!!いつも更新楽しみに読ませてもらってます!!私は分けても分けなくても喜んで読みますっ!ルーシェさんが書きやすい方で無理ない程度にできる方で…。この作品めちゃめちゃ好きです!!更新頑張ってください!! (2020年11月14日 20時) (レス) id: a001c22ffc (このIDを非表示/違反報告)
ミア(プロフ) - ただ原作編の夢主が現作品から何か変化(性格とか考えとか)があった設定であった場合、ちょっとネタバレ感あるかな?と。個人的にはどちらでも嬉しいので作品さんの負担にならない方でお願いします!長文失礼しました。応援してます!頑張ってください! (2020年11月14日 19時) (レス) id: 14272ccc3a (このIDを非表示/違反報告)
ミア(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます。アニメ最高ですね!発狂して怒鳴られました笑この作品もめっちゃ好きです。作品のことですが出してもらえたら全然読みます!むしろwelcomeです。 (2020年11月14日 18時) (レス) id: 14272ccc3a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ルーシェ | 作成日時:2020年10月26日 1時