愛屋及烏 【呪術廻戦】

18話 : わからない ページ18

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一瞬で、Aの周りに呪力が流れ始める。



3人が固まる。


呪力を調整することは呪術師であれば、することは少なくない。


が、それは流れをコントロールするだけであり、

呪力を全くないように見せることは、出来ない……


はず、だが、Aはいとも簡単にやってみせる。





｢呪力のコントロールができるのか？｣

｢……｣

｢術式は持っているのか？｣

｢……｣

｢お前は、呪術師なのか？｣

｢……｣





五条の問いにAは何も答えない。

Aはただ五条をまっすぐ見つめるだけ。



その態度に五条はイラついたのか、肩を掴み、





｢答えろっ！｣





と詰め寄る。


後ろから2人が、やりすぎだ、脅すな 等言っているが、五条の耳には届かない。





｢……ない｣

｢ｱﾞｱﾞ？｣

｢……わからない｣





と少しだけ話し始めるA。





｢…わからない……

……私が、何者か知らない…｣





と少しだけ苦しそうな表情で五条に縋る。


五条は掴んでいた手を緩める。

そして、思い出す。

昼間彼女に苗字を聞いた時のことを。


あの時、Aは苗字がない といった。

だが、無いのではなく……、分からないだとすれば、


いや、そうでなくても……、





｢……何故、お前は俺の服を掴んだ…？｣






本能か、はたまた別に理由があるのか……


前者だとすれば、はやり子どもは子どもで片がつく。

だが、後者だとすれば…、



––––––––– 俺がお前に対して抱いているこの気持ちにも、なにか理由があるのだろうか……





｢……わからない｣





とAは言う。





｢……でも、あなたの近くは、安心するの…｣






そう呟くAの瞳は紅く染まっている。











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