高専への途中経過 ページ20
『…いえ､大丈夫です ありがとうございます』
「…そう」
五条先生の提案を無下にするのは心苦しいけど…
赤の他人がいる場所で眠る勇気は持ち合わせていない
確かに凄く眠い
だけど…眠ると必ずと言っていいほど由梨が夢に現れる
"Aのせい"
"私を助けてくれなかった"
そう言って由梨は永遠に責めてくる
眠れるわけがない
疲れは溜まる一方だ
…もう､何もかも捨ててしまおうかと思った時期もあったな
だけど今は目標が出来た
それが達成されるまでは死ねないな
私はフフッと小さな笑みを浮かべた
流れては消えていく光
物凄い勢いですれ違っていく車達
高速道路なんて最後に通ったのは祖父の家に行った時くらいだろう
…それより今はもっと気になることがある
私はチラリと右に座っている少年に目を向けた
虎杖はスースーと寝息を立てて眠っている
羨ましい､と思いながらも少し呆れた
よくもまぁ隣にタメの異性が座っていて平然と眠れるな…
「どうする？晩御飯まだでしょ？途中で一度降りて何処かで休憩する？」
五条先生が後ろを振り返って聞いてきた
うーん…正直あんまりお腹が空いてる訳じゃないんだよな…
『…いや､虎杖君を起こしてまでする程じゃないんで大丈夫です』
「君は遠慮ばっかだねぇ」
遠慮してる訳じゃないんだけど…
…ま､いっか
私は流れ去っていく窓の景色に目を移した
段々と都会の景色が近づいてくる
「もうすぐ東京だよ」
東京
今までの人生で数回程しか行ったことがない日本の首都…！
コレでテンションが上がらない方がおかしい
時計の針は既に0時を回ろうとしている
それなのに…東京は昼かと錯覚する程に眩しい
『此処が…東京…！』
私は感極まり呟いた
「いや､まだギリ神奈川だよ」
…
「はーい到着ー！」
車達の扉を閉め､私は少し酔い気味の腹を落ち着かせるために深呼吸した
『後半はもう…本当に東京なのかと疑うくらいの山道でしたね…』
「だよねぇ 最初は皆そう言うよ」
何となく騙された気分…
虎杖君は大きなアクビと伸びをしながら車を降りた
なんと神奈川から東京までずっと寝ていたのだ
「お疲れ悠仁 大分疲れてたみたいだねぇ」
五条先生は笑いながら悠仁に話し掛けた
「んー…そんなに ただ車の揺れって俺すぐ眠くなるんだよね」
『分かる 電車の揺れとかホントに酷い…』
「マジであれ何なんだろうな…」
そんな他愛ない会話をする私達を五条先生は何処か楽しげに見つめていた
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セイ - コメントありがとうございます！前述した通り､私文章を賞賛されることがすっごく嬉しいです…！これからも読んで下されば幸いです (2021年3月8日 23時) (
レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
庭にワニ - この作品がすごく好きです！表現から使う言葉からとても小説然としていて、もっとたくさん貴方の文が読みたくなりました。応援しています。 (2021年3月8日 14時) (レス) id: b2acb73c6a (このIDを非表示/違反報告)
セイ - 狗巻先輩推しなのバレちゃいましたか…えへ文章力で褒められるの少ないのですごい嬉しいです ありがとうございます (2021年3月2日 23時) (レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
ロビン - 最近の更新で主様が狗巻推しなのめっちゃ伝わる、、笑これって狗巻と夢主ちゃんがくっつくＥＮＤってありますか？？いつも更新ありがとうございます！主様の表現の仕方で場面の状況が簡単に想像できるの本当にすごいです、、、 (2021年2月28日 23時) (レス) id: 955356ab25 (このIDを非表示/違反報告)
セイ - 待って待って自分がめちゃくちゃ考えた所アッサリバレてるの恥ずかしすぎる…もっと難しくしよう… (2021年1月31日 23時) (レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：セイ | 作成日時：2021年1月15日 3時
