地下鉄の満員電車 ページ2
ガタン…ガタンゴトン…
すっかり日も沈んだ午後8時過ぎ
扉の窓から見える景色はいつもと同じ、つまらないものばかり
私…紅莇(あざみ)Aはどうしようもない眠気の中轟々と唸る電車に揺らされていた
丁度帰宅ラッシュのせいもあってか、電車は満員
乗客の大多数が…小さなスマホの画面を一心に見つめている
過去の私が見たら異様な光景だっただろう
『…』
スマホの画面をイジり、SNSに続々と呟かれている病んだ赤の他人の文面を見つめる
《動きたくない》
《疲れた》
《死にたい》
…このような文章を簡単に打ち込んでいる奴らの何割程度が本気なんだろうか
関係のないこと
知っている…そんなことは
だけど…私だって…
《消 え た い│…
『…はぁ』
…そこまで打ち込んだ後、私は溜息をついて全て削除した
何やってんだろ…
"なんでアンタばかり幸せになるの…?"
…知らない
"申し訳ないが…君はこの進学校には相応しくない"
知らない…
"全部お前のせいなんだろ?!"
…
"行かないで…ッ"
…
…ごめん
プルルルル…プルルルル…
頭の中に響く声、その声は誰かの着信音で突然途切れた
「あ…すいません 電話が…
…どしたの?先生、見つけた?うん、うん、いや…今もう一周して戻ってくるとこ…うん、全く…」
高校生くらいだろうか
男の子の声が遠くから聞こえる
電車の中で通話するとは…非常識もいいとこだ
«間もなくー…× × × 駅…× × × 駅…»
電車に響くアナウンスが脳内に響いていた声のような錯覚を起こす
私は気を紛らわせる為に、ポケットの中の"ある物"に触れた
その時、ふと首筋に何かが触れた
背筋の凍るような感覚が走り、私は ほぼ反射的に振り返る
「…?」
後ろに立っていたであろうリーマンが 何だ此奴 と言わんばかりの顔で訝しげにAを睨む
しかし…Aの視線はその男性に向けられていなかった
『…ッ?!』
目と鼻の先に、人とも思えぬ形状をした化け物がそこに"いた"
沢山の人間をバラバラにして寄せ集めたような…
不気味に光る複数の目はAをしっかりと見据えている
───ヤバい
瞬時に死を悟った
「ミ…ミ"みエ…ル"る"ル…ノ…??」
喋った
嫌な汗が流れ出す
私は唯唖然とし、口をパクパクと動かすことしか出来なかった
「 ミ"…ミミ"える…ノのォ…?!!」
その化け物は手とも思えない腕を大きく振り上げた
ガシャアァーンッ!!
私の頬を掠め、扉の窓ガラスは無惨にも弾け散った
97人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
セイ - コメントありがとうございます!前述した通り、私文章を賞賛されることがすっごく嬉しいです…!これからも読んで下されば幸いです (2021年3月8日 23時) (レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
庭にワニ - この作品がすごく好きです!表現から使う言葉からとても小説然としていて、もっとたくさん貴方の文が読みたくなりました。応援しています。 (2021年3月8日 14時) (レス) id: b2acb73c6a (このIDを非表示/違反報告)
セイ - 狗巻先輩推しなのバレちゃいましたか…えへ文章力で褒められるの少ないのですごい嬉しいです ありがとうございます (2021年3月2日 23時) (レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
ロビン - 最近の更新で主様が狗巻推しなのめっちゃ伝わる、、笑これって狗巻と夢主ちゃんがくっつくENDってありますか??いつも更新ありがとうございます!主様の表現の仕方で場面の状況が簡単に想像できるの本当にすごいです、、、 (2021年2月28日 23時) (レス) id: 955356ab25 (このIDを非表示/違反報告)
セイ - 待って待って自分がめちゃくちゃ考えた所アッサリバレてるの恥ずかしすぎる…もっと難しくしよう… (2021年1月31日 23時) (レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:セイ | 作成日時:2021年1月15日 3時