本 ページ14
銃兎視点
魔王城でのことを報告した後自室に戻り、手に持ったAから借りた本を見つめる。
おそらく本来ならこの本は俺の手元じゃなく、国か研究者か……いずれにしても俺じゃ無い誰かの元にあるべきだ。
それが俺の元にある理由は、報告する時渡すつもりが、この本の存在も伝えられなかった。
伝えられなかったというのは、誰かに阻まれていたとかでは無く、言ってはダメなような気がした。
あの時何故言えなかったのか……
それより、Aの様子が変わっていた。
お気に入りの場所を紹介するなんて思わなかった。
それに表情もいつもと違った。なんというか……
「かわいい……」
は? 今、俺なんて言った?
いやいや、嘘嘘嘘。そんなわけがない。魔族をそんな風に思うわけがない。
突然、本を渡された時の事がフラッシュバックする。
『よ、良かったらだが、その本貸してやろうか?』
あの時俯いていたけれど、髪の隙間から見えた耳がとても赤かった。
あの慣れてないのを隠そうとしているが思わず出ちゃっている感じが……
ふと気がつくと、いつの間にか口角が上がっていた。
いや、ダメだ。違うんだ。
だって俺はAを殺したいと……思って……い、ない
「ダメだ、落ち着け。俺はあいつを殺したい。
傷の付いていないあいつの死体を持って行ったら、解剖して情報になるから、国からの報酬も跳ね上がって……」
本当にそう思っているなら、Aから貸してもらった本も報告するべき。
報告しなかった理由は、情報や報酬を貰うよりも、Aを生かせたいから。
「違う。あいつの人生なんかよりも、自分の利益の方が大切だ。魔族は人間を傷つける悪でしかない。」
Aは人を傷つける素質はない。今日のAを見て分かっただろう。
Aだって人間に産まれていれば、ただの女の子だ。
今までの気の強い態度とは違い、意外と恋愛小説が好きだったりするギャップが可愛かったり……
「……ダメだ、もう否定しようがない。俺はAに恋をしている」
ただこの感情は消さないといけないもの。俺はAを嫌わないといけない。
でも、嫌える材料はもうある。
過去に俺の親は、魔族の生き残りに殺されている。だから魔族が憎くて仕方がない。
だから俺は騎士団に入った。
そんな生きる意味がある。だけどAへの恋心は消せる気がしない。
今の調子だとAを殺してしまう未来が見える。だが殺したくない。
どうしたものか。
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ボムサ(プロフ) - *つむり*さん» わかりましたか? (2021年6月30日 23時) (レス) id: 30c887b2ae (このIDを非表示/違反報告)
*つむり*(プロフ) - ボムサさん» なんとか絞り出してみます……!! (2021年6月28日 17時) (レス) id: a3e5e92948 (このIDを非表示/違反報告)
ボムサ(プロフ) - *つむり*さん» 気づいてください〜〜! (2021年6月28日 17時) (レス) id: 30c887b2ae (このIDを非表示/違反報告)
*つむり*(プロフ) - ボムサさん» そうなんですか!?このコメントを頂いてから少し考えてみたものの……。押韻をさがせ!ですね(笑)もう少し思考を巡らせてみます……!! (2021年6月28日 17時) (レス) id: a3e5e92948 (このIDを非表示/違反報告)
ボムサ(プロフ) - *つむり*さん» 実はもっと踏んでだりしますよ (2021年6月22日 17時) (レス) id: 30c887b2ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ボムサ | 作者ホームページ:http://user.nosv.org/p/tyantoneyou/
作成日時:2021年3月19日 17時