18話 ページ20
ふといきなり聞こえた声に驚き、Aは急いで顔を上げた。彼を見てみると、本は手に持っているが力が抜けていて、机で支えている状態だった。目線はAの方を向いているが、少し泳いでいる。
「Aは、さ……どう思った?」
「…何をですか?」
するとエドワードは本から片手を離し、自分の右腕を触る。
「…俺らの、身体のこと。俺らが…どうしてこうなったのか。」
遂にエドワードの視線は、下を向いてしまった。右腕を掴む力も少し強くなったような気がした。
「……もし、」
Aが話し始めると、エドワードは少しだけ顔を上げた。
もしかしたら、軽蔑されるかもしれない。なんでそんな馬鹿なことをしたんだ。Aに拒絶されたらと思うと、そのような言葉ばかりがエドワードの頭の中に浮かんでしまう。ぐっと眉をひそめ、心の奥からせり上がって来る何かを必死に留めた。
「もし私がエドさんたちの立場にいたら、きっと私も同じようにしてたと思います。…それに、こんなこと言ったらいけないのかもしれませんが……」
────私は、貴方達に会えなかったかもしれませんよ。
「エドさん達に会えないのは……嫌だな。」
それに実際には私も禁忌を犯した身ですし、とAはエドワードに向かって小さく微笑む。今言ったこと全て、偽りではない。
彼はぽかんとしていた。そして、しばらくそのままこちらを見つめていたと思うと、気がついた時には肩がずしりと重くなった。
エドワードが身体を倒し、Aの肩に頭を乗せていたのだ。Aの目の前に広がる金色の髪が、それを物語っている。だが下を向いているせいで表情が見えない。
「…え、あ、あの、エド、エドワードさん…!?」
「…お前って結構…いや、驚くほど前向きに考えるというか……そうか、繋がらなかっ
たかもしれない縁…か。」
するとエドワードは、ゆっくりと顔を上げる。その顔は先程とは違い、優しい笑みを浮かべている。
……良かった、いつものエドさんだ。
「ありがとな、A」
「……じゃあ、等価交換ってことで…」
Aは、おずおずとエドワードの顔の前に本を持ってくる。エドワードは、Aの言いたいことを察したのか、笑って答えた。
「俺が教えれば、合格間違いなしだ!!」
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次回はこの話のおまけです…(短くなりますごめんなさい…!)
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キラ(プロフ) - とても面白いです!更新楽しみに待ってます! (2018年11月3日 17時) (レス) id: 4b08e8e764 (このIDを非表示/違反報告)
レモン - エド落ちキタあああ! (2018年9月30日 12時) (レス) id: 4351e9dc27 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみん - すごいなあ、彼女ちゃんは身体はってでも、二人を守ろうしたのね、それにエドは彼女ちゃん好きなんだ次回はどうなるのかな楽しみです (2018年7月3日 8時) (レス) id: 593bd57e41 (このIDを非表示/違反報告)
まーぶる(プロフ) - 晋陽さん» ひぇぇぇコメントありがとうございます!!頑張ります!これからも宜しくお願いします!ちなみに私もグリリン好きです← (2018年1月29日 22時) (レス) id: 88c9b03fcd (このIDを非表示/違反報告)
晋陽 - とっても面白いです!更新頑張って下さい!ちなみに、グリリンが好きです!← (2018年1月29日 19時) (レス) id: 8ef45f8c23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まーぶる | 作成日時:2017年12月27日 13時