第51話 ページ9
「……あぁ、平気………」
「平気なわけないだろ。その火傷、それに脱水症状が出始めてる。出血も酷い。早く診せに行かないとまずい」
虎杖達とともに来ていたパンダによって言葉を遮られてしまう。だが実際、Aは意識を失いかけている。ほとんど根性で意識を保っているような状態だった。
「……平気、ですから…」
Aの言い分を無視して、パンダの肩に担がれてしまう。伏黒達の方を見て見ると、東堂によって、伏黒と真希の手足を貫いていた木を折られていた。
「私は足をやられた、ここにいても足手纏いになるだけだ。A達と離脱する。恵、お前もだ」
「…!俺は腕をやられただけです。それに、離脱するなら全員で…!」
「伏黒恵、お前はもう呪力がカラカラだ。ここは俺と
「待て!いくらアンタでも……」
「伏黒、大丈夫」
頭の中に浮かんだのは、少年院での虎杖の言葉。
「頼む」
そう言った虎杖の表情は強張り、余裕のないものだった。だが、今の虎杖は違う。何かが変わったのがわかった。
「気づいたようだな。羽化を始めた者に何人も触れることは許されない。虎杖は今、そういう状態だ」
悔しさに歯ぎしりをした伏黒は、A達と離脱することを決意する。
「次死んだら殺す!」
「そんじゃ、死ぬワケにはいかねーな」
その場から立ち去る際、伏黒は東堂にあることを伝えた。
「川底に真希さんの特級呪具。顔面の樹が、格段に脆い」
「情報、感謝する」
重症なAと足を貫かれた真希がパンダに担がれ、その横を伏黒が並走していた。
どうやら、帳は対五条悟用のもので、その他の人間は出入りが可能らしい。
その話を聞いている最中、真希がAを心配して話しかけてきた。
「おい、A平気か?」
「…火傷酷いですよね、大丈夫なんですか?」
「見た感じ脱水症状起こしてるから、そろそろ気絶する。家入さんに診せれば多分大丈夫だ」
自分が話しかけられていることにも気づかず、Aの意識はとうとう限界を迎えた。
完全に瞼が閉じる。
視界が、真っ暗になった。
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ヨッシー(プロフ) - プスメラさん» コメントありがとうございます!作品説明に書いてある通り、五条悟オチです。応援ありがとうございます。 (2021年2月15日 14時) (レス) id: 315b29eacb (このIDを非表示/違反報告)
プスメラ - ヨッシーさん、この小説は五条悟オチですか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年2月14日 23時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヨッシー | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/zyoui1/
作成日時:2020年12月23日 10時