42話 ページ42
*
天童先輩がうちに来てから1週間が経つ頃、やっとお母さんに会えた。
随分やつれたようにすら見える。
ワガママを言って、嫌われたら。
面倒くさいと拒絶されたら。
考え始めたらキリがない。
私はお母さんがまたどこかへ行ってしまう前に、口を開いた。
「お母さん」
「なに？」
お母さんは家でも忙しそうにパソコンに向き合っている。
私が話しかけてもそれは変わらない。
でも声色は優しい。
表情も、私の方を向いていないだけで優しい表情。
「もっと、家にいて欲しい」
「え？」
「ワガママ言ってごめん、私、暗い家に1人はもう嫌なの」
「……ごめんね、今は」
「嫌！ 1人にしないで！ お母さんは私の話聞いたことある？ 部活のこととか勉強のこととか、お世話になってる先輩のこととか」
「お母さんだって忙しいの、わかるでしょ？」
「そんなの言い訳じゃん！ そうやって私と向き合おうとしない、高校受験の時も何も相談に乗ってくれなかった！」
"Aの行きたいところに行きなさい"
お母さんは私が相談すればいつもそう言った。
行きたいところがわからないから聞いてるのに、そんなの無茶苦茶。
ただいまって言ったらおかえりって。
私の話をいっぱい聞いてくれて、ダメなところはダメって叱ってくれて。
そんな普通のことをして欲しいだけなのに。
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時雨 彩(プロフ) - りんねむさん» コメントありがとうございます。リンゴの例えはちょうどリンゴを食べてたら思いつきまして笑そう言っていただけて嬉しい限りです。これからもよろしくお願いしますね！ (2020年1月23日 21時) (
レス) id: f6b47ef514 (このIDを非表示/違反報告)
りんねむ(プロフ) - 初コメ失礼します！林檎の例え話が凄い！！もう凄すぎて凄いとしか言えない！！思わずコメント欄来ちゃいました！！これからも更新頑張って下さい！陰ながら応援しておりますm(_ _)m (2020年1月23日 21時) (レス) id: 529938dd30 (このIDを非表示/違反報告)
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