20話 ページ20
*
「そんなもん、俺が聞いてやるっつーの！」
天童先輩が明るい声でそんなことを言った。
あんたじゃ意味ないんだよ。
お母さんじゃなきゃ。
心の中でそう反論してみせる。
でも口から出たのは笑い声だった。
何がおかしいのか、何が楽しいのか。
「チョット、なに笑ってんの！」
「だって、だって！」
「聞くから、泣くか笑うかどっちかにしなヨ」
呆れながら笑う声と、カンカンカンという踏切の機械音が電話越しに聞こえてくる。
天童先輩の声が嬉しかった。
お母さんの声じゃない、優しくもないしむしろ意地悪な天童先輩の声。
瀬見先輩の方が優しい声をしている。
「大会、頑張ったんです。相手は3年生で……」
「ウンウン」
「それで、ラケットの持ち手に当たって……」
「それはやばいネ！」
天童先輩の笑い声と私の笑い声とが混じって、明かりがついただけで暗いままのリビングが明るく感じる。
なんだ天童先輩、役に立つじゃん、なんて。
「今失礼なこと考えたでしょ」
「考えてないです」
「俺、そろそろ家着くから切るヨ」
「あっ、待って先輩」
何？といつもの調子で言う天童先輩。
少し涙ぐんだけれど、何よりも笑顔が絶えない。
「ありがとうございます、天童先輩」
「お礼言えんじゃん、お前」
じゃあね、と言う天童先輩の声の後電話が切れた合図の無機音が響く。
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時雨 彩(プロフ) - りんねむさん» コメントありがとうございます。リンゴの例えはちょうどリンゴを食べてたら思いつきまして笑そう言っていただけて嬉しい限りです。これからもよろしくお願いしますね！ (2020年1月23日 21時) (
レス) id: f6b47ef514 (このIDを非表示/違反報告)
りんねむ(プロフ) - 初コメ失礼します！林檎の例え話が凄い！！もう凄すぎて凄いとしか言えない！！思わずコメント欄来ちゃいました！！これからも更新頑張って下さい！陰ながら応援しておりますm(_ _)m (2020年1月23日 21時) (レス) id: 529938dd30 (このIDを非表示/違反報告)
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