結納 ページ4
12時になるまでに1度シャワーを浴びてから軽くメイクをして普段の仕事着の袴に着替えた。
「A様、振袖では無いのですか?」
玄関に向かう途中、昨日の文ちゃんのお母さんに会い、そう尋ねられた。
『あー、』
そっか、それ完全に忘れてた。
『向こうのお義母さんの借りるの。』
「そうなんですね!!」
いいわねぇ、と頬に手を当てて微笑んでいる。こう素直に喜んでくれている人を見ると凄い罪悪感が沸いてくる。
『じゃあもう私は行くね。』
「はい!行ってらっしゃいませ!」
『あ、昨日文ちゃんにありがとうって言っといて。大事にするからって。』
「はい!こちらこそ綺麗なお着物ありがとうございます。」
『綺麗に着飾った皆に会えるのが楽しみだよ。』
「私達もA様の晴れ舞台をお目にできる日が来るなんて、感動ですよ。」
『ふふ、ありがとうね。』
じゃあ、と振り返って玄関へ向かった。
『あ、そうだ。』
もう一度振り返って言う。
『みんなに、今日誰かに名前を聞かれても絶対自分の本名を答えないように伝えておいて。』
「?かしこまりました。」
『ありがとう。』
名前は最大の縛りだ。
御三家や今日の参列者達に佐光家や五条誠の関係者もしくは仲間が来るかもしれない。
ああいう奴らに名前を知られると姑息な手で人質に取られたり勝手な縛りを作られる可能性がある。
呪力で耳から脳を守れと言ってできる人達じゃないからせめてもの自衛として。名前は大切だから。
1度任務で赴いた先に呪詛師に依頼をして代償として名前を取られて虚無の瞳で口からダラダラとヨダレを垂らしてただ息をして死ぬのを待ってるかのような人を見た事があったし。その時の呪詛師は殺したけど、念の為。
『じゃあ、いってきます。』
「いってらっしゃいませ。」
編上げのローヒールのブーツを履いて、敷地の外に出る。
『さてと、』
肩に掛けた竹刀袋を掛け直して、夜間警備として飛ばしている【烏】を呼んだ。
敷地には私の結界が張ってあるから問題ないけどたまに良からぬ輩が敷地外をうろちょろして、禪院家の人間に絡んでくるから念の為ね。
『異常なし?』
【カァアァァ】
異常なしだったらしい。烏らしく鳴いてから影に戻った。
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華渚(プロフ) - もも汰さん» めっちゃ褒めてくれるじゃないですか!!ありがとうございます!めっちゃ嬉しいです!更新頑張ります! (2020年11月28日 8時) (レス) id: c7e672e97b (このIDを非表示/違反報告)
もも汰(プロフ) - 最初から読んでいますがやっぱり面白いです……!!感動する所や笑える所、考えさせられる事がたくさんあるので最近はずっとこの小説読んでいます笑 続編でも更新頑張ってください! (2020年11月28日 7時) (レス) id: 4ac9f60d16 (このIDを非表示/違反報告)
華渚(プロフ) - 鈴さん» 話の量多いですよね、私文章を纏める力がなくてダラダラ書いてしまうんです。ごめんなさい。全部読んで頂けて嬉しい限りです!更新頑張ります! (2020年11月25日 0時) (レス) id: c7e672e97b (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - や、やっと、やっと追いついた!!今ようやく最新話です← ハマったの最近なんですが、もう読むの楽しいです!更新、ゆっくり待ってます。 (2020年11月24日 22時) (レス) id: 55fd3da7df (このIDを非表示/違反報告)
華渚(プロフ) - みんとさん» コメントありがとうございます!今からイチャイチャターンなのでいっぱいニヤニヤして貰えるように頑張ります! (2020年11月24日 3時) (レス) id: 18351af9b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:華渚 | 作成日時:2020年11月18日 21時