48.先輩に相談 ページ48
「こいつ、俺んとこのマンションと同じとこにおると?」
「二つ、隣の部屋。」
「いつから顔合わせるようになった?」
「た、卓ちゃんがキャンプに行くちょっと前」
「・・・なんで相談してくれなかったと」
「だ、だって、野球頑張ってる卓ちゃんの邪魔出来ないって」
「A、好きな女一人守れんで野球やってたと思うと今自分にすげえ腹立ってしゃーないんよ。そんな頼りなか男か?」
「ち、ちが」
違う、Aを責めたいんじゃない。
Aを苦しめたどこの誰だか知らん男が悪い。
「とりあえず、家にはしばらく帰られんけん、今日は札幌に一緒に戻って別のホテル泊まろう。これからの事は、俺も今は頭に血が上って考えられん。でも、Aのこと、1番に思っとる。やから、Aが1番安心できる環境作るんも、これから生活を共にするパートナーとして、男としてやって行きたいんよ。」
「っ、卓・・・」
「愛してるから、野球も勿論大切やけど、それとは別に、Aを愛しとるから、大丈夫やけん。」
「っふ、っっうっ」
「怖かったな。ごめんな、一人にして。」
じゃあ、キャンプ頑張ってくる、と家を出たときのAとは違う、細くなってしまった肩や腰。
浮気なんて疑ってた単細胞な俺はどれだけアホなんやろって。
空港に車を取りに戻りそのまま札幌へ戻る。
Aは着いた先のホテルで眠ってしまった。
改めて見ると目の下の隈も目立ち頰も前より痩けてしまっていた。
Aの携帯を開いて改めてLINEを見る。
「っ気持ちわるか男や。」
俺の、俺のAに、こんな思いさせよって。
怒りに気を取られてしまい、何をするか分からんくて、こういう時に相談をするのはあの先輩や、って、自分の携帯を開く。
「賢介さん、相談があるんですが」
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作者名:ずゅん | 作成日時:2017年9月9日 0時