20.おこられた ページ20
遥輝遅いんやけど。
一人、いつもの店の個室で待ちぼうけしていた。
「卓さ〜ん。すいません、迷える子羊救ってて」
遅れたくせにヘラヘラしてる遥輝に少しイラッとしてると
「迷える子羊連れてきたんで一緒に飯良いっすか。」
「は?お前ナンパしてきたと?」
「違いますよー卓さんの喜ぶ顔見たかったんですってばー」
「お前の好みと全然合わんけん、知らん女いるなら帰る。」
拾ってきた女の子と飯食わすとか、どんな神経しとるんこいつって思ったつぎの瞬間だった。
「じゃじゃーーーーーーん!」
「あ、卓、久しぶり〜・・・」
持っていたタバコが手から落ちた。
「え?!A、何して・・・」
「帰り道困ってて、助けてもらって、その」
「へ?助け?何の話なん?」
「いや〜!車からめっちゃ女の子に言い寄ってる男いて、信号待ちの間ずーっと見てたらなんか事件性あんじゃねえかなーって止めに入って、そしたらAちゃんだったんで、卓さんと飯食うしこのまま来てって連れてきt・・・」
「言い寄られた?!事件性?何の話と?!」
「た、卓落ち着いて。ナンパされてたところ、助けてもらったの。」
「いや卓さん落ち着いて下さいってば」
頭のなかにビックリマークとクエスチョンがいったり来たりする。
どうやらAは繁華街から少し離れた暗い道を通って帰っていたところチンピラもどき(遥輝談)に連れ去られそうになっていたと。
「え、もしかしてあの道通ったん・・・」
「いや、」
「あそこ危なさそうやけん、通らんでバスとかタクシーとか使えって言うてたやん。」
「・・・ごめんなさい。」
「遥輝が助けてくれたから良かったけど、」
「まあまあ!俺も運良かったな〜思てますし」
「ほんまごめんな。遥輝ありがと。」
「いいえ!Aさんも、もうあそこ通っちゃ駄目っすよ。ヤクザとかも近くにいるみたいやし、暗いんで女の子1人は危ないっす。」
「ごめんなさい。」
Aの家は川を越えたところにあるから、暗いし危険も多いからお願いやから歩かんでって、いつも送るとき言うたんやけど、どうやらそこを通ったらしく、
そのまま3人で飯食って、遥輝がトイレにいったとき「どうして歩いたん?」って聞いたら
「最近美味しいものを卓と食べ過ぎて太ってきたから。」
と言った。
「全然気にしないから、そっちの危機管理よりも自分の危機管理したがいい」
って二の腕を摘まみながら言ってやった。
367人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「プロ野球」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ずゅん | 作成日時:2017年9月9日 0時