5 ページ26
『…ちゃん…しょ…ん…しょーちゃん』
遠くで誰かに呼ばれているような気がする。
その声は…雅紀？
体を遠慮がちに揺すられて。
わかったよ、今起きるから。
ちょっと待ってな、すぐに、すぐに。
「しょー…ちゃ…気持ち…わるぃ」
ハッキリとした雅紀の声に気がついて
がばっと目覚めたときには遅かった。
雅紀が苦しそうに顔を歪めながら
何も出るものがない体内から
胃液を吐き出しているところだった。
「雅紀！！」
咳込みながらさらに嗚咽を繰り返す雅紀。
その目には止まったはずの涙が再び滲んでいる。
昨晩は泣いていた雅紀が心配で数分おきに
様子を見ていて、やっとさっき寝付いたところだった。
そんな自分に猛烈に反省と後悔が襲う。
「…ごめ…なさ…い」
「いいから、喋るな。我慢しないで出しちゃえ。」
必死で背中を擦りながら感じる違和感。
いつもの高熱とは違うような気がする。
精神的に雅紀が疲弊しているような、そんな感じ。
.
「ベッド…よごした…しょーちゃんも…ごめんなさい」
少しだけ吐き気が落ち着いて
身の回りの状況に謝る雅紀。
「何言ってんだよ。しょうがないことだろ？
俺がもっと早く気付けばよかったんだ、ごめんな」
「ちがうよ…おれが…」
「もういいから。口ゆすいで着替えような。」
今までなら
朝方には微熱程度に戻っていた体温も
今回はまだ高そうだ。
雅紀の体に何か大きな問題でもあるのか？
それとも精神的なものなのか？
モヤモヤと不安が渦巻き始めていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 423人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
＊ｈａｎａ＊(プロフ) - RICOさん、完結おめでとうございます。素敵なお話をありがとうございました。RICOさんの作品が大好きです。最後まで読ませて頂けて、とても嬉しかったです。また新しいお話を楽しみにお待ちしています。 (2016年8月27日 0時) (
レス) id: 748fb966ed (このIDを非表示/違反報告)
RICO(プロフ) - はっしーさん» ありがとうございますっ！！またはっしーさんにコメント頂けるなんて嬉しいです♪はい！自分のペースでゆるーく頑張ります!(^^)! (2015年10月10日 20時) (レス) id: 8abeff3ab3 (このIDを非表示/違反報告)
はっしー(プロフ) - 就職決まっておめでとう！よかったね〜♪パフパフ〜♪♪ずっと読みたかったから更新の案内見て飛んできました！そしたらなんとも嬉しいニュースが！！これからもいろいろ忙しいだろうけど自分のペースで更新して下さい。待つのは得意なのでのんびり待ってま〜す♪ (2015年10月9日 22時) (レス) id: 1d879c733a (このIDを非表示/違反報告)
RICO(プロフ) - ゆうちゃんさん» 同じ相葉担さん嬉しいです♪これからも暇つぶしにでも読んで頂けると嬉しいです！よろしくお願いします(*´∀`*) (2015年5月1日 11時) (レス) id: d1fc9b87a2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうちゃん - 私は相葉ちゃんが大好きです！ いっつも、出てくる相葉ちゃんが楽しみです！ RICOさんの小説が大好きになりました！これからも頑張ってくださいね。 (2015年4月30日 21時) (レス) id: 369e55d056 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：RICO
| 作成日時：2015年3月21日 1時
