41 (Fside) ページ8
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コンサートを2週間後に控え、俺達はリハーサルに毎日励んでいる。
宏光はドラマ撮影も並行しているからかなり忙しいみたいだ。
けれど、宏光はドラマもコンサートも前から楽しみにしていたし、実際充実した日々を送っている様子。
身体の事が心配で本当は無理をして欲しくなかったが、宏光が抜けてはコンサートも成立しない。
俺は精一杯、宏光を支える事が務めだと考えていた。
コンサートで着る衣装を合わせていた時の事。
「太輔…」
隣にいた宏光が小さな声で俺を呼んだ。
スタッフがいる場所で名前を呼ぶことなどなかったから、驚いて宏光を見ると手のひらを見つめて呆然と立ちすくんでいた。
「どうした?」
スタッフから見えないように、宏光を体で隠す。
「手が痺れる…」
新しい症状が出始めている…
不安で泣きそうになっている宏光の手をそっと握ってゆっくりと擦った。
こんなことで治る訳じゃない。
でも、こうしてやることしかできなかった。
「大丈夫…大丈夫だから…」
「うん…」
「次、北山さんのサイズ調整します。」
後ろからスタッフが宏光を呼ぶ。
「ボタン…」
「俺が留めてやるから、大丈夫だよ。」
宏光を落ち着かせるために、微笑んでボタンを留める。
宏光は、小さく頷くと「ごめん」と小さく呟いた。
痺れた右手を握り直し、頬を撫でた。
「あ…少し治まった。」
「ホント?」
「うん。ありがとう。」
俺の顔を見上げ、微笑んで見せた宏光。
ゆっくりとスタッフのもとへと歩いて行く宏光を、震える体で見送った。
「太輔?」
心配そうに声を掛けてきた渉。
「北山、新しい症状が出始めてる。」
「え?」
驚く渉。
時間がない。
初めて焦りを感じた。
「渉…俺、怖いよ…」
笑顔でスタッフと話す宏光を見ながら、震えが止まらなかった。
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作者名:MISA | 作成日時:2014年6月3日 22時