39 （Yside） ページ6
「うんまいっ！」
口一杯にご飯を頬張り、もぐもぐと食べるミツ。
今日は食欲はあるみたい
「太輔は、ご飯作ってくれてる？」
「うん。最近格段に上手くなったよ。横尾さんがレシピ教えてくれてるんでしょ？」
太輔からの相談を受けて、俺も何度かレシピを考えた。
太輔の努力は、ミツへの愛が為せる業だ。
「太輔が作る野菜スープ、絶品だよ。横尾さんにも食べさせたいくらい。」
「野菜たっぷりスープでしょ？」
「え？あれも横尾さんのレシピ？」
色んな野菜を細かく切って、コトコト煮込んだ野菜スープ。
体調の悪い日でも、これだけは食べてくれると太輔が言っていた。
「横尾さん…」
次々と料理を口に運んでいた手が、突然止まった。
「ん？もうお腹一杯？無理しなくていいからね。」
ミツは俯き、箸を置いた。
「気持ち悪くなっちゃった？……ミツ？」
「太輔は…俺を重荷に感じてないかな…」
さっきまで見せていた笑顔は消え、伏せた瞳が不安で揺れていた。
「そんなことないよ。太輔は本当にミツの事大事に思ってるよ。」
「…太輔に大丈夫って言ってもらえると、本当に大丈夫な気がしてくるんだ。
苦しい時も痛くて辛い時も太輔が傍にいてくれたら、楽になるような気がする。
だから、無意識に甘えてしまうんだよな…。」
寄り添う2人の姿が見えるような気がした。
「太輔はきっと、ミツが甘えてくれることが嬉しいんだと思うよ。」
「…けど…」
「太輔、変わった。ミツと一緒にいるようになって、強さを含んだ優しさを持てるようになった。
ミツ…太輔はもう、ミツを一人で支えられるくらい逞しい男になってるよ。それは…ミツがそうさせたんだ。だから…甘えていいんだよ。」
ミツの眼が潤んでいた。
「ミツがずっと太輔を守って来たように、今度は太輔がミツを守ってくれるよ。」
抱き締めたミツの体はまた少し小さくなった気がした。
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作者名：MISA
| 作成日時：2014年6月3日 22時
