63 (Fside) ページ30
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東京ドームコンサートを間近に控え、リハーサルに励む日々。
数ヶ月前の興奮が蘇り、メンバーも徐々にテンションを上げている。
宏光も体調を見ながらリハーサルに参加していて、毎日楽しそうだ。
俺達はただ…無事にコンサートが出来る事だけを祈っていた。
皆が振りの確認を行っている間、マネージャーからこっそりと控室に呼び出された。
「何?」
「実は…」
聞けば、俺に映画の出演依頼が来ていると言う。
「だから、何度も言ってるでしょ。レギュラー以外は受けないって。」
「分かってますけど、藤ヶ谷さん、この監督の作品に出たい、って言ってたでしょ。しかも主演ですよ。」
「いいんだよ。今は俺の夢より北山の方が大事なの。少しでも北山の傍にいたいんだよ。」
「けど、このチャンス逃したらもう二度と…」
マネージャーと言い合っている時、ガチャリと控室のドアが開いた。
「宏光…。」
振り返るとそこには、笑顔の宏光と、困った顔をしたニカが立っていた。
「ガヤさん、声大きいよ…。全部聞こえちゃった…」
「うん。聞こえちゃった!」
「…何でそんなに笑ってんだよ。」
「だって…嬉しいじゃん。」
「何が?」
「藤ヶ谷の夢が叶う事と…夢より俺が大事だって…言ってくれた事?」
「そこ、なんで疑問形?」
やり取りを見ていたマネージャーとニカがクスクス笑い出す。
「何笑ってんの?」
「だって…普通さ、こういう時って言い合いになるんじゃないの?『やれよ!』『やらないよ!』みたいな?」
「お前、ドラマ見過ぎ…」
「ニカの方がよっぽど面白いよ…」
ため息をついたら、宏光に腕を引き寄せられ向き合わされた。
「ニカはさておき、藤ヶ谷、良かったじゃん。やりなよ。俺は大丈夫。お前の夢は…俺の夢だよ。
藤ヶ谷が仕事してる姿、俺好きだし…何より、俺も楽しみが出来るよ。藤ヶ谷の映画…一緒に見たい。」
宏光の笑顔を見てたら…
意地になってた気持ちが解けてった。
「そんな風に言われたら、やらないなんて言えないじゃん…。」
「素直じゃないな〜。『やりたい』って言えばいいの!」
宏光が笑いながら背伸びして俺の頭を撫でる。
「ガヤさん!」
ニカもニコニコ笑ってる。
こいつらの笑顔って…最強…
「やりたい…です。」
この時、宏光が覚悟した事
俺がそれに気付くのは、もう少し先の話…
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作者名:MISA | 作成日時:2014年6月3日 22時