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61 (Fside) ページ28

油断してた。

生放送、新曲披露…

宏光が無理をするかもしれないって想像する事は十分出来たのに

朝ちゃんと、体温計を確認しなかった…





「そんな体じゃ無理だよ。事情話して休ませてもらおう?」





渉が宏光の頭を撫でながら、子供に言い聞かせるみたいに説得してるけど





「いやだ…」





宏光は首を振って頑なに拒否。






「生放送ですよ。何かあったら大変な事になります。スタッフの方にも迷惑になりますから。」





マネージャーは腰に手を当てて説教モードだ。






「…出る…お願い…出させて……俺…頑張、るから…」

「無理です。今日は諦めましょう。また次があるじゃないですか。」






マネージャーのその一言に宏光がポロポロと涙をこぼし始めた。






「そんなの…分かんないじゃん!…次は…ないかも、しんない、じゃん…。俺には…もう…時間が、ないんだよ…」






宏光の言葉に俺達は息を飲んだ。

『大丈夫だよ。また出られる。』

誰もその言葉を言ってやる事が出来なかった。

息を荒げながら、「お願い…太輔…」と俺に縋りつく宏光。

もうダメだなんて言えなかった。






「…マネージャー…出させてやって。」

「藤ヶ谷さん!」

「お願いします。責任は俺が取ります。…ちゃんとフォローするから。だから北山を出させてやってください。」






宏光を抱きしめたまま、頭を下げた。





.

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作者名:MISA | 作成日時:2014年6月3日 22時

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