46 （Yside） ページ13
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太輔の様子がおかしい事には気付いていた。
ふとした時に暗い表情で溜め息をつき、悩んでいるようだった。
福岡でのコンサート。
俺と太輔はホテルの部屋で二人きりになる。
今夜にでも話を聞こうと思っていた矢先だった。
「太輔、そろそろ起きろよ。」
目覚まし時計のアラームが鳴ったのに珍しく太輔が起きてこない。
「ん…」
「いつも寝起きいいのに…珍しいな。」
布団の中でまだモゾモゾしている太輔の体を揺さぶった時だった。
「わ、たる…」
「え？何その声！？風邪引いた？」
掠れた声。
一瞬で体調が悪いと気が付いた。
「太輔…熱あるよ。いつから体調悪かったの？」
「……今？」
こいつ体調悪いのにも気付いてなかったのか？
「熱測ってみるか？」
常備している体温計が役に立った。
「あちゃ〜、結構高いね。」
「渉…北山には…ｺﾞﾎｯ…言わないで…」
幸いミツとは別の部屋。
隠せない事はないけど…
「マネージャーに連絡して病院連れてって貰おう。熱、下げて貰っておいで。」
朝一で病院に向かった太輔を探して、ミツがやって来た。
「おはよ。あれ？藤ヶ谷は？」
「先日の雑誌の写真に不備があったみたいで、仕事連れて行かれたよ。」
「え？マジ？あいつも大変だな〜。」
前もって考えておいた言い訳は、ミツを騙すのには十分だったみたい。
けど…
「藤ヶ谷、熱ある？…いつから？」
リハーサル中、太輔と話していたら、ミツが太輔の額に手を当ててきた。
「太輔、他のメンバーは騙せても、ミツには隠し事はできないよ。観念しな。」
病院から戻って懸命に悟られまいと振舞っていた太輔もそんなミツに苦笑い。
「大したことないよ。ごめん、黙ってて。」
と白状していた。
ホテルに帰ってからも、
「ミツ、風邪が移るといけないから、自分の部屋に戻りな。」
と説得したが、ミツは俺達の部屋に留まり、
「俺のせいだよ。俺が、太輔に無理させたから…ごめん……ごめんな。」
熱が上がった太輔の側を離れようとしなかった。
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作者名：MISA
| 作成日時：2014年6月3日 22時
