45 (Fside) ページ12
次々と宏光の体を蝕んでいく病気。
宏光を守りたい、救いたい…
その思いとは裏腹に進んでいく病状を見ながら、俺は恐怖を感じ始めていた。
大阪で突然倒れた宏光。
渉の素早い対処のおかげですぐ目を覚ましたが、倒れた直後の力の抜け切った体と青白い宏光の顔を間近に見て、俺は宏光の『死』を目の当たりにしたような感覚に陥っていた。
余命を聞きながらも、宏光が死ぬなんてそんな事はないと思っていた。
いつか絶対、宏光の病気は治るんだと…
でも…それは、俺の希望…願いでしかない。
現実は、残酷だ。
宏光は一歩一歩死に向かっている。
自分の浅はかさを思い知らされた気がした。
どんなに手を尽くしても…宏光を救う事は出来ないのではないか
俺はただ、祈る事しか出来ないのか…
その祈りすら天には届かず、こうして手をこまねいている間に病気はどんどん進んでいく…
俺は宏光の側にいて、何もしてやれない…
苦しくて…笑えなくなった。
体調が悪くベッドに横になる宏光にも、前みたいに微笑んで安心させてやる事も出来なくなっていた。
「太輔……ごめんな。……俺は大丈夫。心配すんな…」
今日もこうして、宏光が側に寄り添う俺に、無理やり笑顔を作り手を差し出している。
『大丈夫』と言う言葉は、いつしか俺が宏光を励ますものではなく、宏光が俺を気遣って言うものに変わっていた。
情けない…
支えるべきはずの俺が、宏光に支えられている…
一度落ちた心は、思考をどんどん暗くする。
宏光が…死ぬ…?
宏光が…俺の元からいなくなってしまう…?
嫌だ…
誰か…宏光を助けて…
俺から…宏光を奪わないで…
宏光の眠った部屋で、声を殺して泣く事しかできなくなっていた。
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作者名:MISA | 作成日時:2014年6月3日 22時