【d!】物が擬人化して恋するなんて聞いたことないっ！

憧れに嫉妬は付き物 ページ32

「まだ怒ってるのなら謝る。すまん。」

そう言って馬鹿正直に謝る目の前の男。


お前のそういう所嫌いやねん。
俺が殴りかかろうとしても大人に受け止めようとするところ
そうなる度に俺の小ささが目に見えて

惨めやねん。





「許してもらえるとは思ってへん」


お前の哀れんでるような目が嫌い。


「だけどその怒りの矛先を向けんのは俺だけにしといてくれへんか。」


それを受け止めて、ずっと覚えていて





「すまんな大先生」






改善してくるお前が嫌い。



あの時だって本当は思ってないことを言った。
ただ理不尽な事を言ってお前を俺の下に蹴落としたかっただけ。


本当は謝らせて優越感に浸れるはずなのに、

望みは叶っている筈なのに。



なんでこんなに＿＿＿＿


「...ワスレナグサ街の方や」

「おう、ありがとな大先生、あとショッピとチーノも。」

それだけ言えば扉を開けて外へ出ていく。



もう、ほんとに惨めや。
こんなことを考えてんのもきっと俺だけ。




ずっと人差し指から彼女の色んな顔を見てきた。

幸せそうに笑う顔、驚いて嬉しそうにする顔、恥ずかしいと照れた顔。
家族には向けない特別な顔を見てきたと思っていた。

でもそれ以上にあいつには特別な顔を向ける。


「大先生.....」


心配そうなチーノの声が俺を貫いた。
こいつらにまで心配かける訳にはいかん。

少なくとも俺について来てくれたんやから。


「なんやねんはよ煙草買ってこいや」

「...今日寿司でも行きますか？」

「ええやん大先生の奢りな！」

「お前ら...人の金やと活き活きしとるな。」





俺はあいつらが嫌い。



それでええんや。

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