お泊まり ページ9
ウン十年も使用されてきたベッドにダイブするとぎし、と大きな音を立てて軋んだ。
同じ同室の人が同じようなことをして音を立てたものならブチギレそうになるが、今日は同室の人はいない。どうやら自宅に帰ったようだ。……というかそれ以前に。
「あー、疲れたな」
ここはシュンタの部屋ではなくシンヤの部屋だ。
寮の部屋割りは先輩と後輩が同じになるように配置されている。まだ2年生の彼らはもちろん先輩と同室だ。自分の部屋とはいえ、やはり先輩と同じだと気を遣ってしまう。
しかし先程も述べたように今日はシンヤの同室の先輩はいない。おまけに金曜日だ。
「やっとテスト終わったな！」
「あくまでも前半戦な」
シンヤに指摘されシュンタはがくっと肩を落とす。夏学期のテストは木金月火と4日に分けられていて、まだ2日分しか終わっていない。
つまりまだテスト期間なわけだが、間に挟まれた土日。ここは一緒に過ごすしかないと、シュンタはシンヤの部屋に泊まりに来たのだった。
たぶんこのことが先生にバレれば叱られるのだろうが、そこは一致団結。寮内でのあれこれは生徒たちの秘密だ。
「っつっても今日は金曜の夜だし、遊ぶか！」
「おー！……ぶっちゃけ眠いけど」
と、意気込んで30分もしないうちに2人は眠りについたのだった。
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「……ん、」
窮屈さを感じて目を覚ますと、目の前にすやすやと眠っているシュンタがいた。
いつも泊まりに来たときはベッドの下に布団を敷いて眠ってもらっているのだが、昨日はベッドの上で談笑しているうちに眠ってしまったらしい。
決して広くはないベッドに平均よりも大きい男子が2人並んで眠ればそれはそれは窮屈だ。おまけに夏で気温も暑い。しかし、不思議と嫌悪感はなかった。
「幼い」
メガネにピアスにネックレスという見るからにヤンキーな格好をしているシュンタだが、それら全てを外した無防備な姿は実年齢よりも幼く見えた。
珍しいシュンタの姿にふふと笑みが漏れて、記録に残しておきたいとスマホを手に取った。悪びれもなくシャッターを切ってもシュンタは起きない。
「……いつも」
ありがとな、と独りごちてシンヤはそっとシュンタの頭を撫でた。
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シンヤ「シュンタって寝顔かわいいな」
シュンタ「おいそれいつ撮った！？」
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作者名：ずずずん | 作成日時：2022年8月6日 19時
