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「───つまり、寄り道をしていたと」
「私も悟を止めようとしたんですが…」
「おい傑。おい?ちょ、待ってせんせー待ッ」
ゴン、と再び五条に鉄拳が落とされたのは言うまでもない。
「君達を呼び出した理由は、コレだ」
そう言って夜蛾が彼らに渡したプリントにはヒーロー科への移籍についてが記されていた。
ここで彼らは初めて普通科が復活枠であることに気付くことになった。
苦い顔をした夏油は五条を睨んだ。
彼らはここ数週間でかなり目立っていた。
それは食堂だった。
ある日、五条と夏油による机を挟んだ大乱闘スマッシュブラザーズが始まり、同席していた家入の食事が地面へと落下した。
それを止めたのは八雲の重力操作の個性だった。
周りの生徒は八雲のファインプレーに感心し、夏油と五条は家入によって半殺しとなった。
また別の日は夏油が触れていないにも関わらずふよふよと浮くお盆にこれまたその場にいた生徒は感心した。
呪霊に運ばせていることを知っている彼らは顔を顰めた。
そしてそれは体育だったりもした。
体育で個性を使用した身体測定を行った際、とある生徒の豪速球が五条目掛けて飛んで行った。
しかし、五条はオートで無限を張っていたためボールは彼にぶつかることなく地面に落下した。
そしてまた、その場にいたものは感心した。
家入は呆れていた。
ここまで奴らが目立つとは思っていなかったのだ。
家入はと言うと、これと言って目立つような行動は起こしていなかった。
しかし、彼女の個性はヒーロー科にとって、否、ヒーローにとって喉から手が出る程欲しいものであった。
なぜなら家入の力は、自分はもちろん、他人にも与えることの出来る力であったからだ。
それはリカバリーガールの治癒とはまた違った力であった。
彼女の個性、癒しは負傷者自身の体力が必要だった。
しかし、家入の個性は違う。
家入は自らの力を負傷者に送ることで治す。つまるところそれは、負傷者への負担が無いということだ。
八雲の重力操作も、もちろん似たような個性を持つ者は居たが彼女ほど緻密に操った者は居なかったし、夏油の個性は前例が無かった。
極めつけは五条が六眼、そして無下限を抱き合わせていること。
五条の力はこの世界においてもそれはそれは貴重なものであった。
そんな彼らをヒーローである先生達が見逃すわけがなかったのだ。
「ヒーロー科に、移ってみないか」
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あお - 間の開け方とか言葉選びとかすごい良かったです!! (2022年8月28日 20時) (レス) @page18 id: c1da01ed72 (このIDを非表示/違反報告)
トマトまと(プロフ) - 呪術師側のイカれ具合とか、ヒーローに対する嫌悪とか、全て大好きです。 (2022年1月2日 15時) (レス) @page50 id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
あかし - あくまで私個人の感想です。書き方やオチ希望してる方がいますがこれは作者様の作品です。書き方も展開も終わり方も全て作者様の自由です。私はこのままの作品が好きですし、作者様の自由にして下さい。言葉選び、文脈全てが大人で素敵です。これからも応援しています。 (2021年8月7日 14時) (レス) id: 9951821a6a (このIDを非表示/違反報告)
天宮 - 誰が喋っているのか聞いてくれないとわかりません。 (2021年6月28日 8時) (レス) id: 453c097156 (このIDを非表示/違反報告)
天宮 - 誰が喋っているのか聞いてくれないとわかりません。 (2021年6月28日 8時) (レス) id: 453c097156 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ずんだもち | 作成日時:2021年2月11日 11時