前世の記憶持ち男主 ページ1
＊
おれの父親は魔王だ。
Aには前世の記憶がある。
どうってことない、それこそ、見ず知らずの人を捕まえてまでも自慢できるような輝かしい人生を送ったわけではないが、とにかくおれには前世の記憶があった。
特に突き出た才能もないが、前世というアドバンテージがあることで、同年代の子供たちよりも大人びた感性を持っている。
どうせならギフテッドが良かったと何度思ったことか。
凍った床の上で滑って転び＿＿＿家の中で、である。クッパ城でも燃えるのが限界だぞ＿＿＿頭を打った拍子に、足りなかったピースがぴったりとはまったみたいに前世を思い出した。
あまりの情報量に、当時4歳だったおれは充電が切れたロボットの如く停止していたと、床を凍らせた張本人から聞いた。
ああそう、なんで床がそんな状態になったのかって話だけど、それは双子の妹の仕業である。
先に言っておくと、真冬の廊下に水をぶちまけたわけじゃないし、ここが南極ってわけでもない。
今世はどうも複雑な世界のようで、ほとんどの人間に「個性」という異能が備わっている。ベースは前世と同じで、法に準じて人々は生活を送っているけど。
世紀末じゃなくて良かったと心から安心した。…まあ、おれの家は年中ブリザードが吹き荒れる世紀末一家なんだけどさ。
その「個性」にもいろいろあって、だいたいが親からの遺伝らしい。たぶん、DNAに因子か何かが含まれているんだと思う。
稀に「何も持たない」状態だったり、その反対に「親の個性とは全く関係ない」状態で生まれたりすることもあるようだ。
人の数だけ「個性」がある。生活に役立つ異能もあれば、あっても無くても変わらないようなもの、見た目が人型でないせいで社会からはみ出されてしまうような傍迷惑な異能まで多種多様。
強い「個性」同士を掛け合わせて超(笑)強い子供を造ろうなんて非人道的な考えもある。前世では親ガチャなんて言葉も流行ったが、これではまるで個性ガチャだ。
で、良い歳してカプセルマシンの前に座り込み、必死にお金を投入しているのがおれの今世の父親だった。
「A〜宿題終わったあ…？」
隣の勉強机で鉛筆を握っていた双子の妹＿＿＿冬美が間延びした声を出す。
そちらを向くと、冬美はぐでーんと背もたれに寄りかかり意気消沈といった様子で、Aは「どこが分かんないの？」と兄貴風を吹かせて立ち上がった。
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緑猫(プロフ) - しらないさん» ご返信が大変遅れました…！申し訳ないです！コメントありがとうございます！！思いついたときにこそこそ書き溜めていけたらと考えております＾＾ (2021年12月29日 0時) (
レス) id: dd1c3e784a (このIDを非表示/違反報告)
しらない - 面白い。好き (2021年12月22日 14時) (レス) @page4 id: ffdbbf39c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：緑猫 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?
作成日時：2021年12月16日 21時
