第49話 ページ20
side小次郎
創「へぇ〜?そうだったんっすか」
渚「えぇ。今私がフランス料理を目指したのは、あの時出会ったおかげよ」
渚も俺と同じで、母思いの優しい奴だからなぁ...
小「初日に作ってやったキッシュだがな」
創「?何の話すか?」
小「ゴボウってのは...欧米人には“木の根”にしか見えないらしいな。『日本人は木の根なんか食べるんだ』って驚かれることも多い」
創「!へー...」
渚「第二次世界大戦中、日本の捕虜になっていた兵士の食事にゴボウが使われて、『日本人に木の根を食べさせられた』って...捕虜虐待で国際裁判にまで発展したそうだよ」
創「はー...すげぇ話っすね...!」
小「それにゴボウやニンジン...根パセリなんかの根菜は戦時中の貧しい食事を思い出させるから、長いこと食材として敬遠されていた背景もある。そんな食材のことを...むこうでは“レギューム・ウーブリエ(忘れられた野菜たち)と呼ぶ」
渚「小次郎さんが作ったあのキッシュに名前を付けるなら...『キッシュレギュームウーブリエ』ってところかな」
小「(フランスの文化にも日本の文化にもふれている俺にしか作れない料理は必ずある__)」
小「俺が日本出店を決めたのは、自分の料理の土台...ルーツを再確認するためだ。もう一度自分の生まれた国で料理と向き合う。今の俺が...三ッ星を獲るためにどうしても必要なことなんだ」
創「四宮先輩。今夜...新作コンペやるんすよね。俺も一品出したいんすけど」
唯・リュ「えっ⁉」
リュ「毎日サポートの仕事だけでいっぱいいっぱいだったじゃないカ⁉」
創「いや俺、初日からずっと出すつもりだったんで、今日まで頭ん中に組み上げてきたイメージをすぐにでも形にしたいんす」
小「まともな品が出せるのかよ」
創「はい」
俺は渚を見る。
渚は頷いたので、俺は...
小「...思えば、お前のレシピを味わうのは初めてだな。いいだろう...渚も審査するしな...ただし、せっかく芽生えた自信がへし折れても知らねぇぜ?」
オオオオオオ
小「幸平の新作コンペ出品を認める。食後のコーヒーをお出しした後、調理の準備に取りかかれ」
日「新作コンペ⁉」
こうして、ヒナコたち立ち合いのまま、新作コンペが始まろうとしていた__。
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紅暁武(プロフ) - コメントありがとうございます!今は終わりのセラフの執筆がしたいので、更新が遅くなりますが、これからもよろしくお願いします。 (2017年10月20日 17時) (レス) id: 0baae86048 (このIDを非表示/違反報告)
玲奈(プロフ) - 面白いです更新頑張ってください!応援しています(((o(*゚▽゚*)o))) (2017年10月15日 13時) (レス) id: 91cee282ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅暁武 | 作成日時:2017年10月7日 22時