第41話 ページ12
side渚
いよいよプレオープンが始まった。
私は小次郎さんのサポートをしつつ、調理をしている。
ガチャ
渚「(あちゃー...幸平くん、音立てちゃダメだよ...)」
なんて調理しながら心の中で思う私。
小「余計な音を立てるな。次やったら叩き出す」
ジュワァァァァ
ぴちっ ぷち ぷち
僅かな音の変化に気付くために、厨房は静か。
小「1番卓、アミューズ出るぞ!」
渚・ア・リュ「ウィ!」
リュ「ユキヒラ!遅れないで。そっちのフュメ・ド・ポワソン(白身魚の出汁)を静かに濾して急いで」
創「うす!」
リュ「※ラングスティーヌ出して」
※手長エビ
創「どうぞ!」
リュ「あと3番卓が前菜を食べ終わる頃に※mirepoix(ミルポワ)の用意を」
※香味野菜数種を角切りにしたもの
創「うす!」
リュ「?」
リュ「ユキヒラ!ミルポワは⁉」
創「はっ」
創「すみません!まだです!」
マジかよ...だから私はスタジエが嫌だったんだ...よりにもよって、小次郎さんのこの大事な時期に来るなんて...ホント堂島さん止めてほしかった。
小「幸平。ミルポワに取りかかれ。リュシ!3番卓は後回しだ1番卓の魚料理を先に」
リュ「ウィ!」
小「唯!3番卓肉料理5分遅れる」
唯「ウィ!」
小「渚。俺のサポートからいったん外れろ。幸平のミスの尻拭いをしてやれ」
渚「ウィ・シェフ」
私は幸平くんの前に立つ。
渚「1番卓のサポートは私が変わる。どいてくれる?」
私は冷たい目を向けながら、幸平くんに言う。
創「...うす」
渚「正直に言うけど私はまだ、幸平くんをチームの一員として認めていない」
唯「渚さん」
ア「俺も渚さんと同じだ」
唯「アベルまで!」
ア「反論あるのか?調理場の流れを滞らせる者は必要ない。俺はSHINO'STOKYOの料理長だ。仕事を管理する義務がある」
渚「思い知ったでしょ?しょせん幸平くんは研修生(スタジエ)なんだ」
渚・ア「一軍に割って入ろうなんて思い上がるな」
私とアベルは冷徹な声でそう言った。
ア「わかったら立場をわきまえて」
創「すみませんすぐ戻ります!」
渚・ア「!」
へぇ...面白い。
小次郎さんが幸平くんを気に入った理由がわかった気がする。まだ私は幸平くんをチームの一員として認めたわけじゃないけど...アベルと同じで。
ザッ ザッ ザッ
幸平くんは、ミルポワの準備に取りかかる。
創「お待たせしましたっ!」
こうして、プレオープン初日は終わった。
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紅暁武(プロフ) - コメントありがとうございます!今は終わりのセラフの執筆がしたいので、更新が遅くなりますが、これからもよろしくお願いします。 (2017年10月20日 17時) (レス) id: 0baae86048 (このIDを非表示/違反報告)
玲奈(プロフ) - 面白いです更新頑張ってください!応援しています(((o(*゚▽゚*)o))) (2017年10月15日 13時) (レス) id: 91cee282ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅暁武 | 作成日時:2017年10月7日 22時