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「子どもが熱でェ゛? はァア? ガキに気取られる暇ないじゃろがァ。 ったく……痛ァッ゛!!!? 何をするかスージー!!殺すぞ!!!!」
「負けていない、我はけっして負けていないぞ。これは戦略的撤退じゃ。ウム。流石我、あるべき時分に確かに正しき判断を下せる。まさしく傑物じゃ。ウウム……フウ……どう、勝って行くものか。ッいや、けっっして負けては居ないが。これは戦略的撤退じゃからのう、じゃから─────」
「くっはは、来たる悪夢とは我が代名詞よ! 扉が壊れた? 知ったことか! 勝者は……時に躓くほうがッ、劇的じゃからのう! サアサア、我が戦績の正の字を刻むのは、どの愚者じゃあァ゛!?」
「フン。ヘナヘナの若造を殺す趣味は無いわ、戯け。 じゃが、そうじゃなあ……打てば響く器ではありそうじゃ。どうれ、暇潰しに手解きでもしてやろうかのう」
「起きろ!若造!まずは食え!その後訓練、訓練、訓練じゃ!あと飯な!!!!」
「ハ?? 学院で教師ィ?? おいバカ、これ以上働けと言うのかァ痛゛!!!! 叩くでないわ!!!!」
「ぐぐぐ、熟考にも浸らせぬとは……つくづく性悪な奴じゃわい……」
「───────はてのう。我は人に教わった覚えがないのでなあ、分からないということが分からんのじゃ。……マア、そう急いて覚えることなのか、とは思うぞ。数百年かけて漸く追求された物事を、僅か六年で修得するとは。最近の子どもは見上げたものじゃなあ」
「教えてやろうか。良い時代じゃったぞ、あの頃は。我を見れば誰もが恐れ、全てを捧げてでも自分の命を乞うた。なんと醜く愚かで、そして昂奮を覚える様であるか……然しだ。もう戻らんのじゃ。戻る事はできんのじゃ」
「愛を自覚した奴に、邪悪な非道は働けんからな」
「義理とはいえ、我も人の親じゃ。娘に『おじいちゃんみたいで嫌だ』と言われたため、娘の前では若者言葉を頑張って使うておる。おじいちゃんどころか、娘の年から見るに“先祖”なのじゃが……」
「涙に理由など要るか。ガキは泣いて然るべきじゃ。さっさと寝るんじゃよ! 嫌なことがあった日の言葉ほど、不幸のタネになるのだからのう」
「奴は我を笑うかのう。……あの女、どうにも頭が切れるからのう。予期していたかもしれんなあ。この馬鹿馬鹿しい、平和で穏やかな我の教育の様を」
「フハハ、我もまだまだ未熟者じゃからのう。 どれ、一つ道化でも見せてやろうか……なあ、若造よ。未だ世闇に翳らぬ愚者よ」
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