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そんな中でも、彼の根底にあるのは諦観のみである。彼は自分が褒められて育たなかった分を取り返すように、たくさん褒められたがる傾向にある。我慢強い精神の底には、さらさらに乾いた渇望と、どろどろな独善性が渦巻いている。自分の頑張りを評価して欲しい、もっと頑張れる自分になりたい、誰にも見られない場所で静かに生きていたい。かつて果たされなかった欲望が、彼の中にひとつの経験として根付いている。それはいつしか相手への共感となって、誠実さとなって。再び、彼に残酷なまでの聖心を植え付ける。誰も救うことのできない場所に、人を誘う魅力になっていく。
招かれた頃には、彼の飼い猫になるのも、時間の問題なのだ。
彼は数に恋をして、世界に恋をして、人間に恋をしている。まるで無限のように、それでも確かに有限に、奉仕的な快楽だけが見据えられている。
はて、彼の愛とはどんなものか。 興味関心で触れてはならないが、それは彼自身が結局見つけるべきものである。
何者にもなれなかった子供は、果たして、誰かの見本になれるだろうか。彼はいつも自分に問いながら、日々を過ごしている。
【魔法道具】
万年筆。黒地のシンプルなもので、彼のイニシャルの「A・H」が入っている。文字を書いた紙によって、魔法を補強することもできる。
【担当教科】算術
【サンプルボイス】
一人称:僕
二人称:君、貴方、あなた
三人称:君たち、みんな、あなた方
「祝福を享受せよ」
「やあ諸君! 23秒遅れ、大変申し訳ない! 号令をお願いするよ。……ありがとう。ガイダンスでは何を話そうかいつも迷うんだ。結局は同じことを話すんだけどね。さて、僕は算術教師のアラン・ジェフリー・ハックマン。アラン先生でもハックマン先生でも、好きに呼んでくれ。……あ、ジェフちゃんは無しで。流石に生徒に愛称を呼ばれるのは」
「無しでって言っただろ!!もう!!うちの生徒こんなんばっか!!!!」
「えー、ゴホン。……それでは、本題の算術に入るよ。まずは前提から話をしよう。算術とは、端的に言えば真理の追求だ。とにかく堅実に、横着をせずに臨むことをお勧めするな。授業時に課題プリントを毎回配布するから、板書や課題は、全て毎回のそれで完結させられるはずだよ。失くさないように気をつけて。万一無くしたら授業前に言うこと。手間賃でお金取るよ、出世払いでいいけど」
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