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＊ ページ12
「わたくしのお父上ですか？ ええ、変成術のダヴィデ先生ですわ。正しくは義父だけれどね。……あら、そんなに驚かれますか？ 実は意外に真面目な人なのですよ、ダヴィデさんって。……こらこら、想像もつかないなんて顔しないの！」
「いつでも、正しき人が一番美しいですから」
「やさしさだけで、人命が助かるとお思いですのッ！？……あっ…ごっ、ごめんなさい。つい、取り乱してしまって。お怪我はありませんか？」
「……おやすみのキスをしても、構わない？」
「花が、散る夢を見るのです。何かを失ってしまう時、とてもとても綺麗な花が、はらりと散ってしまうのです。それが人なのか物なのかも分からないけれど……わたしには、とても綺麗なものに見えたのだわ」
「ぁ……ああ、まただわ。もう、わたし、貴方がいたら…眠れない、のに」
「すきよ。うん、とってもね。だあいすきよ。だから、ねえ、……ゆめから覚めてもいっしょに居たい、というのは……わたくしの、わがままかしら」
「嗚呼」
「それでも」
「それでも。立ち上がらなければならないのよ」
「選ぶためには、選ばれなくてはなりません。追随するには、確かめなくてはなりません」
「何故ならば───────わたくしが、リタ・シルヴィ・ジャンメールであるから！」
「フフッ、ねえあなた！ いけませんわッ、余所見だなんて！ だって、勝負はまだ決まっておりませんから！」
「そう、清廉なる乙女は─────いつでも、真っ直ぐ臨むのですわ」
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