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「おい。─────それ、どこで聞いた？ 情報源によっては、君を疑うぞ」
「俺と出会ったからには、助ける。さあ、生きろ。君が手を取るため必要なものは、俺が全て用意する。だから、諦めるな。俺の手を、決して離すな」
「自由は嫌いか？……聞き方を変えようか。君の自由は、どこにある？」
「ドゥオデキムの皆には、野望がある。叶えたい願いがある。俺は、それを選ぶための躊躇いを無くせる存在になりたい。1%を選ぶための、ひとりの勇気に力を添えたい。たとえそれが……命に関わることだとしても。その美しさや気高さに、嘘はないだろう。それが、俺の考える“自由”だ」
「何せ、ここの奴らは俺に遠慮をしない。そこが、一番好きなところだ」
「ん？ ああ、バレてたか。これでも変装には自信があるんだが……声でバレたのか？ いや、安心しろ。人のプライベートに介入するほど俺は意地の悪い男ではない。早々に立ち去るよ。……嘘だが」
「父は、気高き戦士であった」
「生きろと言ったのは、父だった。だのに父は、未だ天を選び続ける。持つべき上昇志向とは、このような意味ではなかったはずだが」
「忘れられたくない、と言うには……時間が、経ちすぎた」
「俺は父を信じていた。父の美しさを、誰よりも信じていた。子どもが親に憧れるのは必然さ。でも、父には俺が
「でも、父を愛していた人は、想像していたよりもずっと、イスカリオテが嫌いだった」
「いいさ。俺がこの魔法の持ち主でよかったってことだ。薬はよく売れるだろ？ それに、これで君らの給料がしっかり払えるな」
「君、君、聞こえるか！……息はあるが…仕方ない、強硬手段で行くか。血が苦手な者は、目と耳を塞げ。─────ッ、君、口を開けるんだ。そして…ゆっくりでいい、呼吸をしろ。息を吸って、吐いて、吸って……よし、いいぞ。ゆっくり飲めよ」
「目の前の人を助けないのは、俺の信条に反する。たとえ君が、俺と差し違えていたかもしれない人間だったとしてもだ」
「いや─────もう、刻が来たんだ」
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作者名：松宮カナメ | 作成日時：2022年7月28日 1時
