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だから。再会するその時を、確かに迎えられるように。どうか、繋ぎ止めたままで居られるように。その手をまた力強く握って、言ったのだ。
「じゃあ」
「じゃあその時は、おれがおぶってやる」
目を見開いて、驚いたような顔をしていた。
きっと。きっと、いつもどおりに。にこっと笑って、うなずいてくれる。そう思っていたのだが＿＿口を半開きにして、二の句を継ごうとしたまま。
ライノアは、脱力するように手を離した。
溢れ落ちていた涙は、ぴたりと止まっていた。頃合いを見たような大人たちに連れられ、二人での会話は、そこで終わってしまった。
再会は、必然だったのだろう。
新品の同じローブを着た者たちがぞろぞろと揃い始める、人いきれの中。ひとつの瞬きが、すうと透き通るような新緑を映し出した。再び、あの時のようにキュ、と胸を締め付けられる。気づいた時には、体は動いていた。
一歩一歩、辿るように。もう一度、その手を握るために。もう一度、お前の笑顔を見るために。か細いその手を、掴んだのだ。
どうして。確かに、あの時までは分かっていたはずだったのに。
「ごきげんよう、皆さん。お元気そうで何よりですわ」
揃った皆の顔を一瞥してから、こなれた様子でカーテシーをして、控えめに上目遣いをするジョゼフィーヌ。その声を皮切りとして、再びにこやかに会話を始める監督生たち。その顔は凛々しく、まさしく人の前に立つべき、寮の顔となるべき逸材の集まりと言ってよかった。
「うん、やっぱり。ハキハキとした良いメンツだな！」
「それはそうだろう！例年通り、学年の中でも粒揃いの人員に違いないだろうね」
「あぁ、始まる...！ …うん。大丈夫、気を引き締めなきゃ。沢山、たくさん準備したんだもの」
「へえ。今年の一年は期待できそうだ。おいザシャ、そろそろ始まるぞ」
「……ああ。そうだね、始まる。早く終わってくれ」
「ああしかし、やはり美しい！ 麗人は近くで見るに限る、早くその手を取りたいものだよ」
「抑えてくれよ、アイラー君。今日は、一分のズレも許されないんだから」
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