6.自業自得にゃ ページ8
「ただいっうぉ！？ちょっ、いきなり出てくんなや！」
「すいませんちょっと用事思い出しました！」
我が家に入った途端ショッピくんは俺のフードから飛び出して元の姿に戻り、リビングへと一目散に駆けていく。
どうやら某子供番組をイッキ見するらしい。そんなもんでデータ食わんといてくれ。
ちなみにこの家に俺とショッピくん以外のルームメイトはいない。元々は野良らしいけど、彼が数年前にここへやって来てからはそれなりに楽しく暮らしている。
俺の親のことは……ショッピくんにでも聞いてみてや。
「上の歯〜、下の歯〜…」
リビングに入ると、彼は器用に後ろ足で立って手を洗いながらテレビから流れる歌を口ずさんでいた。
どう見てもただの猫だったさっきまでの姿とは違い、今の彼は尻尾が複数に別れている。しかも、6本。
ショッピくんの種族は強ければ強い程尻尾の数が別れるんやと。俺としてはこれ以上はキモいから勘弁してほしい。
それはそうと、あの後コンビニで色々食べ物を買ったんだった。
それがなんと、聞いて驚け………あれ、ない。
「ショッピくーん、お前のビス……あ」
「もぐもぐ……うん、やっぱこれっすわ」
いつの間にかショッピくんの手に渡ってた。これがホントのネコババか。
ちなみに、彼の最近のお気に入りはビスケット。
……犬用の。
腐っても猫なのに、どういう神経してんのかな。…なんて口が裂けても言えへん。
ちなみに俺は嫌いや、腹壊しそうやし。
…と、そんなことは置いといて。
「ショッピくーん、ビスケット美味い？」
「あげませんよ」
「いやいらんわっ…そうやなくて、さっきの話」
「あぁ、今朝の。約束は約束やし、ちゃんと教えます」
「いやーホンマ助かるわ…」
そうして俺は、情報料(おやつ)と引き換えに始業式での話の内容を聞き出すことに成功した。
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────
「…はぇ？こ、これで全部？」
「はい。全部っす」
結論から言う。
騙された。
うん、騙されたわ。
つまりは宿題などというのは真っ赤な嘘。ハッタリである。
「そもそも始業式でそんな細かい話する訳ないでしょ」
確かに、よく考えば分かる話や。
結局の所、俺はまたショッピくんの良いように使われたらしい。
「ぐ、ぐうの音も出えへん…」
「これに懲りたら人の話はちゃんと聞くことっすね」
落胆する俺を嘲るかのように、テレビからは絶えず楽しそうな歌声が響いていた。
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作者名：カキ | 作成日時：2022年8月3日 2時
