39.ド迫力 ページ46
ライオンをイメージした威嚇の咆哮。
犯人達にはバツグンに効いたようで、2人は俺から腕を離していた。
その勢い余って首に回されてた鎌が思いっきり横に引かれてクッソ痛かったけど、今はそんな問題ちゃう。
「…なあ、今チャンスちゃう？」
恐怖のあまり動けない犯人達を確認し、ショッピくん達の方へ向き直る。
腰の抜けた大先生はポカンと床に座り込み、彼の尻尾も全部股の内側に隠れていた。
────お前らもビビってんのかよ。
「…っゾムさん口開けて！！」
我に返ったショッピくんにそう叫ばれ、言われるがままに口を開く。
彼は振りかぶり、俺にナニカを投げつけた。
そこそこ距離があるにも関わらず、そのナニカは真っ直ぐふわふわと俺に向かって飛んでくる。そして……
ぱくり、ごくん。
「大先生、大先生！カメラ！！」
「え、あ、はいっ！！」
飛んできたナニカ───錠剤を飲み込んだ途端、体内がじわじわと熱くなってくる。
「い゛っ……」
煙を噴き出し、若干の痛みを伴い変化していく体。
数秒後、俺の体はこの数日間で見慣れた人魚の姿になっていた。
「…なんだ、ホホジロかよ……地上じゃなんの意味も」
「いや、まだや」
かまいたちの安堵の声を遮り、大先生がそう呟く。スマホを構え、勝ち誇った笑みを浮かべている。
事実、まだ体の変化は止まっていない。
「ごめんなゾムさん。困ると思って黙っててん」
「縮み薬でごまかしとったんすけど、本当はあんたホホジロザメやないんすよ」
え、何その情報初耳なんやけど。
そんな俺の驚きをよそに、俺の体は元の形を保ったままどんどん巨大化していく。
やがて完全に変化が止まり、体の痛みも止んだ。
……なんか異常に目線が高い気がする。
顔を上げると、何かに後頭部をぶつけた。
「痛っ」
頭をさすろうとして、腕も何かにつっかえる。
天井だった。
「……ん？？？」
見下ろすと、リ◯ちゃん人形並にちっさい人の大群。
あの大男すら他の奴らと変わらへん。かまいたちなんて、豆粒同然や。
てか体デカすぎてずっと伏せてへんと天井壊れそう。
「くそっ、なんだこの体固ェ！！」
犯人2人組が俺の背中を殴る、切る、などと攻撃してくるが、全く痛くない。
俺の手の傍で、ショッピくんがこちらを見上げていた。
「流石っすわ、メガロドンの皮膚……」
「メガロドン？」
「そ、古代魚の。もう絶滅してますけどね」
────え、俺古代魚なん？
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作者名：カキ | 作成日時：2022年8月3日 2時
