脅威が送る不思議な日常 (ページ29)

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幕間5(終)〜2人の脅威〜ページ29

ゾムさんが中学校に進学すると、学校生活は今までとがらりと変わった。

いじめっ子が別の学校へ行ったこともあり、彼をいじめる者が消えたからだ。

それでも彼の人見知りはそれ程良くならなかったが、俺はゾムさんが普通の学校生活に溶け込めていることだけでもただただ嬉しかった。

それに、1年生の体育祭を終えた彼に異名が付いたのも面白かったエピソードの1つだ。

｢クラスの最終兵器｣、｢ラスボス｣、｢名誉人外｣。

……そして「脅威」。

へんてこなあだ名を付けられたとゾムさんは憤慨していたが、それにしても｢脅威｣には驚いた。

懐かしい二つ名を聞いて、俺はまだ子供のゾムさんをあの人と重ねてしまった。

人見知りで、デタラメに強くて、あらゆる生物と心を通わせられる、神様みたいな存在。

そんな人間(異種族)、俺は1人しか知らない。

────ねぇ、ゾムさん(ゾムさん)。

俺のこと、忘れちゃったんですか？

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「……？ショッピくんなんか言うた？」

遊んでいたゲームを中断し、ヘッドホンを外してショッピくんを振り返る。

彼は俺のベッドの上ですやすやと眠っていた。ホンマいつでも寝とんなアイツ。

「……気のせいか」

気持ちよさそうに目を閉じるショッピくんをひとしきり眺めた後、俺は再びパソコンの画面に向き直った。

「(気のせいなわけないでしょ)」

片目を開き、ゾムさんの後ろ姿を眺める。

机に突っ伏して悔しがったり、両腕を振り上げて喜びを噛み締めていたり。

本当に、年相応だ。

……さあ、今年はいよいよ修学旅行。

行き先がどこになるのか、楽しみやな。