19.事件 ページ22
本格的な暑さが始まった七月の中旬。いつも通りの日常を過ごしていた。何事もなく過ぎていく日々に少しばかり飽きてきていた。だからってあんな事件起きなくてよかった、今になって思うのだ。三月に真選組に入り、四ヶ月が経った頃この事件を境に少しばかり可笑しくなってしまった。そう、あの忌まわしい事件から……。
まだ七月になったばかりの頃であった。変死体が見つかった。それは若い女性から御年寄まで幅広い年齢層の人間が殺されたのだ。それも家で発見される。中には奇妙なことに家族と一緒に寝ていて朝起きたら母親だけが殺されると言った不可解なものまであったのだ。その話を聞き、いよいよだと思った。
死亡者は全部で五人。そして、被害者に共通する点。それは皆真選組に入隊している人の親族だと言うことだった。そうなればこれは攘夷志士の仕業の可能性が大いにあった。
そして、一番隊隊長〜十番隊隊長、副長、局長だけで行われた会議では、内通者がいる可能性もあるので十分に注意して欲しい、との事。なぜ私がそれを知っているかというと沖田隊長から教えてもらったから。決して私から言ったのではない。隊長から話し始めたのだ。
そんなこんなで事件に気をつけよう!!と私は大変警戒していた。今はまだ少数の犠牲ですんでいるが、いつ血迷って大量殺人なるものを起こすかも分からない状況。とてもとても真面目だった。
しかし沖田隊長は違った。
「そんな気を張っててもお前の事だからどうせまた俺の裾を掴むだろィ。」
なんて事を言いやがるんだと思ったがその通り。私は怯えていたのだ。魔法でやっつけるのならともかく私は刀を人に向かって構えたことも無いひよこだった。そりゃ剣術はあるし、そこら辺の隊士よりは強いかもしれないけれど。私にも覚悟を決める時が来たのだと、ただ思っていた。思うことしかできなかった。
私が苦しい顔をしていると、隊長は気を使ってか私の頭を手で撫で、「ま、その時は守ってやらァ」なんて事を言うものだから少し顔が熱くなり俯いた。
人に優しい言葉をかけてもらうようになったのは真選組に入ってからだ。感謝してもしきれない。
私は隊長にはにかみながら「ありがとうございます」と返事をした。
12人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
抹茶(プロフ) - おかゆです。別のアカウントからコメントしてます<(_ _)>パスワードが分からなくなってログインできなくなりました。頑張ってはいたのですがやっぱりできず……。気が向いたらこの抹茶アカウントで投稿するかもしれません。そのときはよろしくお願いしますm(__)m (2019年7月24日 1時) (レス) id: a70fe719c0 (このIDを非表示/違反報告)
秋音(プロフ) - 夜空 星月さん» ありがとうございます!元気でます(*´ω`*) (2018年6月19日 21時) (レス) id: 5561946052 (このIDを非表示/違反報告)
夜空 星月(プロフ) - 大丈夫ですか、地震!私のところは揺れなかったんですが、ご無事のようでなによりです。お怪我に気をつけてくださいね。 (2018年6月19日 20時) (レス) id: 5d15086cca (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:おかゆ | 作成日時:2018年6月18日 1時